エネルギー価格高騰とバイオマス利用

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2005年12月12日

  • 牧野 潤一
ボーナスの時期がやってきた。ボーナス商戦では家電やパソコンが主役となるが、最近はロハス(LOHAS)ブームなどから、生ごみ処理機が売れているそうである。ネットで調べてみると人気商品は5万円近くし意外に高い。自治体によっては補助金が出る場合がある。

生ごみや籾殻、家畜糞など動植物から生まれた有機性資源をバイオマスと言う。このようなバイオマスの利用は自然界からの恵みをエネルギーという形で持続的再生するものであり、循環型経済の形成が必須になるものである。これを利用するのは一家計の努力では限界があり、公共財として国・自治体の取り組みが不可欠である。

自治体ぐるみの活動が、しばしば、マスコミに取り上げられている。例えば、京都市の家庭から出た廃食用油のバイオディーゼル燃料化。北海道滝川市の生ごみのメタン発酵によるバイオガス発電、発酵残さのたい肥化、などである。

実際、広く薄く存在しているバイオマスを集めるのには非常に手間がかかる。日本には原油量換算で年間3500万klのバイオマス資源があると推計され、これは年間の原油消費量の約10%に相当する。しかし、現状は十分に活用されているとは言えない。食品廃棄物を例にとると、肥料や飼料など利用されているのは10%に満たず、残りは焼却、埋立処理されているのだ。

バイオマスエネルギーを化石燃料エネルギー利用と比較してコストはどのくらい違うかという研究がある(新エネルギー海外情報)。ユーカリを燃料とするガス化発電と、石炭火力発電の導入コストとランニングコストを比較しているのだが、ユーカリ使用の場合、石炭火力発電に比べて、1.72倍となるという。まだまだ、問題は山積みである。

エネルギー循環型社会の形成や地球温暖化防止のためにも、バイオマスエネルギー利用は有効であり促進する必要がある。資源価格が高騰している今、鉱物資源の乏しい日本は、一層そうした努力が求められる。

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