サマリー
◆2025年10月1日から続いていた米連邦政府の閉鎖は、11月12日に成立したつなぎ予算の可決を受けて終了した。注目される経済活動への影響は、10-12月期の実質GDP成長率を大きく押し下げる一方、2026年1-3月期は反動増が見込まれる。ただし、つなぎ予算の期限は2026年1月末までであり、それまでに本予算や再度のつなぎ予算が成立しなければ、政府閉鎖が再発することになる。その場合、反動増は先送りされ、経済活動の正常化は遅れる恐れがある。
◆本予算策定を巡り不透明な情勢が続く中、トランプ大統領が重視してきた関税政策はマイルド化が進んでいる。具体的には、中国やスイスに対する関税率の引き下げや相互関税の対象から一部農産物を除外された。関税政策のマイルド化の背景には、世論や共和党内でのトランプ大統領に対する不満が高まっていることがあるだろう。マイルド化が進めば、景気の下振れリスクやインフレ再加速リスクを軽減する上で安心材料といえる。
◆ただし、これまでの関税政策はマイルド化と厳格化で揺れ動いており、焦点はマイルド化の賞味期限だ。国内の政治状況に目を向ければ、2026年11月の中間選挙に向けた動きが始まっており、世論や共和党議員のバーゲニング・パワー(交渉力)は強まることが想定される。経済状況に関しては、トランプ減税2.0やこれまでの利下げによって景気の持ち直しが見込まれる一方で、家計の暮らし向きの改善は一様ではなく、低・中所得層を中心にトランプ政権に対する不満は解消しづらいことも考えられる。トランプ大統領の不規則発言は今後も続くかもしれないが、有権者や議員の不満を高める強面の関税政策は取りにくい状況が継続すると想定される。
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