サマリー
◆ユーロ圏の2025年7-9月期の実質GDP成長率(改定値)は、前期比+0.2%となった。スペイン、フランスのプラス成長が押し上げに寄与する一方、ドイツ、イタリアは前期のマイナス成長に続いてゼロ成長となり足を引っ張った。業種別の内訳はまだ明らかになっていないが、生産指数の動向を見る限り、サービス業が景気拡大を下支えする一方、鉱工業は停滞が続いたとみられる。
◆一方、10月以降の景気動向に関して、景況感指数(総合、欧州委員会公表)は10月に大幅に改善し、景気拡大ペースの加速を期待させる結果となった。とりわけ鉱工業の景況感が大幅に改善しており、これまで回復が後れてきた鉱工業の持ち直しが示唆される。
◆ECBは10月の理事会で3会合連続となる政策金利の据え置きを決定した。ラガルド総裁は会見で経済の下振れリスクが緩和したことに言及しており、追加利下げの可能性が低下したことを示唆した。10月の理事会後に公表されたインフレ率、賃金統計は概ねECBの想定通り推移していることもあり、ECBは次回、12月理事会でも様子見姿勢を続ける公算が大きい。
◆英国の7-9月期の実質GDP成長率は前期比+0.1%と、プラス成長を維持しつつも、前期から減速した。サイバー攻撃を受けた大手自動車メーカーの生産停止という特殊要因が下押しした点には留意が必要だが、その影響を割り引いて見たとしても英国経済の成長ペースは緩慢である。
◆BOEは11月の金融政策委員会で2会合連続となる政策金利の据え置きを決定し、利下げペースを鈍化させた。ただし、前回、9月会合時点に比べれば政策スタンスはハト派化している。英国では労働市場の悪化傾向が続いており、11月26日に公表される秋季予算の内容を見極めた上、次回、12月会合では追加利下げが検討されるとみられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
7-9月期ユーロ圏GDP 緩やかな成長が継続
フランスの成長ペースが加速し、市場予想からはわずかに上振れ
2025年10月31日
-
欧州経済見通し フランスの政治不安は一服
ただし予断は許されず、予算協議が次の焦点
2025年10月21日
-
欧州経済見通し 利下げ終了後の注目点
関税リスクは後退、財政悪化・金利上昇が新たなリスクに
2025年09月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

