ヘッジ・ファンドに対するSECの規制措置
2005年11月08日
これまで、ヘッジ・ファンドは、規制が緩やかなことが大きな特徴となっており、最近のヘッジ・ファンド市場の急成長は、このような特徴が一因であったと考えられている。ところが、アメリカの証券取引委員会(SEC)は、ヘッジ・ファンドに関する最低限の管理の必要性を認識するに至り、広範囲なヘッジ・ファンドに対してSECへの登録義務を課すことになった。登録の期限は、来年(2006年)の2月1日である。
年金基金を始めとする機関投資家によるヘッジ・ファンド投資が活発になり、運用結果が年金基金の受益者など、幅広い層に影響を及ぼすようになったことが1つの動機である。さらに、これまで5年間にSECの管轄したヘッジ・ファンド関連の不正事件が50件以上(被害総額は約11億ドル)発生するなど、規制の緩やかなファンド形態が経済犯罪者による不正取引の温床になっているとの認識がもう1つの理由である。2003年に発覚した投信スキャンダルでも、時間外取引(late trading)を利用して不当な利益を獲得した投資家の筆頭はヘッジ・ファンドであったことが知られている。
登録が免除されるのは、顧客数が15未満、運用資産額が2,500ドル未満という零細な私的ファンドに限られており、幅広いヘッジ・ファンドがSECの管轄下に入ることになる。登録されたヘッジ・ファンドに対しては、SECによる調査権限が発生し、コンプライアンス体制の不備等の理由で調査を行い、不正行為を未然に防止できる可能性が高まると期待されている。
しかしながら、過去5年間のヘッジ・ファンド関連不正事件の中で、すでに任意にSECに登録しているヘッジ・ファンドの絡んだケースも8件含まれているなど、SECへの登録による不正行為の抑止力は、完全でないことも事実である。そのため、ヘッジ・ファンドへ投資する際には、今後も、高度なリスク管理体制の整備が必要であろうと考えられる。
日本の年金スポンサーの間でも、ヘッジ・ファンド投資が活発になってきた状況を踏まえて、大和総研では、早稲田大学大学院ファイナンス研究科に在籍する3名の先生方のご協力を得て、運用機関、年金スポンサー、シンクタンク等の第三者機関から構成されるリスク管理フォーラム(オルタナティブ投資セッション)を立ち上げた。日本の年金スポンサーの実態に合った実践的なリスク管理のあり方に関する議論が活発に行われることを期待したい。
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