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日銀短観9月調査の評価

2005年10月06日

リサーチ業務部 主席研究員 小林 卓典

3日に公表された日銀短観9月調査の結果は、見る人によってなかなか解釈に悩む内容であったようだ。どの部分にフォーカスを当てるかにより結論は異なってくるが、新聞のヘッドラインは、「景況感2期連続改善」、「景況感小幅な改善」、「景況感ほほ横ばい」などといったところ。どれも間違いではなく、それぞれが部分的に結果を正しく表現している。

確かに大企業・製造業の業況判断DIは2期連続の改善であった。しかし、株式市場にポジティブな印象を与えるには、業況判断DIが市場予想を下回った点が物足らないと捉えられた。重要な売上・収益計画については、全規模ベースで年度上期の売上、経常利益が上方修正された点は良かったが、下期の利益計画は下方収益されていた。逆に設備投資計画は、上期に下方修正され、下期に上方修正される傾向が出ていた。結局どう評価すべきなのか。

今回の短観でもっとも重要だったことは、おそらく原油高の影響がどの程度企業の景況感や業績に影響を及ぼしているかを確認することであった。その点で言えば、景気が加速的に改善する時期が終わりつつあることが示唆されたが、同時に原油高に対する日本企業の頑健さを非常に強く表わしていたのが、今回の短観の結果だったように思われる。

業況判断DIが連続的に下を向き始めると景気後退が近いことや、どれほど設備投資計画が強気であっても、業績次第で簡単に腰折れすることを多くの人が経験的に知っている。ただ、どこまでの原油高と共存しながら景気拡大が可能なのかについては、まだ学んだことはなく、経験的に判らないということだ。原油市況は供給ショックの潜在的な可能性を抱えているから、あまり楽観的なことばかり言うわけにはいかないが、今回の短観は案外ポジティブな評価を与えても良いのではないかというのが率直なところだ。

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