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事業継続計画における適切な投資とは

2005年09月21日

古井 芳美

先月下旬、大型ハリケーン「Katrina」が米国南西部を襲い、記録的な被害をもたらした。また今月11日で同時多発テロ発生から4年が経過する等、各企業においてBCP(事業継続計画)の内容を再検討する節目を迎えている。最近ではテロや停電等の人的災害が多く取り上げられているが、ハリケーンと竜巻の通過地域となる南部、地震と津波発生のリスクが大きい太平洋沿岸、さらに積雪による交通機能の低下が避けられない北部というように、米国は圧倒的に自然災害の脅威を抱える。しかしながらIT調査会社のGartnerは、米フォーチュン1000社に該当する企業の約4割がBCPやDR(災害復旧対策)への対応を全くしていない、もしくは十分に対応していないと指摘する。この調査結果は、実際に災害が発生しないと費用対効果が見えにくく、BCPへの適切な投資額について解答が見出せないと同時に、業績が優先されて緊急時の対応事項が後手になっている米国企業の苦悩を浮き彫りしたものと言えよう。

では、BCPに対する適切な投資とはどのように決定していくべきであるのか。ここでデータセンターの代替施設を例に取る。代替施設の形態には、被災後、直ちに業務の復旧が可能なよう処理機能が二重化された「ホットサイト」と、電気配線や空調等の基本インフラのみが整備された「コールドサイト」がある。そして両形態の中間で周辺機器やネットワークは準備されているものの、コンピュータ搬入やアプリケーションのインストール作業が必要な「ウォームサイト」が存在する。業務の中断をできるだけ最小限に留めたい場合には、ホットサイトの導入が求められることになる。ただし、ホットサイトは導入コストと維持コストがかさむことになり、全業務に適用することは現実性に欠ける。従って基幹業務にはホットサイトを導入するべきところ、資金的に余裕のない場合には、業務遅延というリスクを抱えつつも、妥協案となるウォームサイトを選択することが最適であると思われる。

平常時にBCPへの投資を考えると、資金的な制約を抱える企業ほど「予算の無駄」と捉えるかもしれない。しかし業務分析を丁寧に実施した上で適切なBCPを策定すれば、予算の制限内で効果的な準備が可能であり、仮に事業中断という「リスク回避」ができなくても「リスク軽減」はできる。そして平常時においては取引企業からの信頼維持と企業価値の向上に繋がることから、BCPへの投資は決して無駄にならないはずである。

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