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再び増加を始めた韓国の住宅投資

2005年07月22日

黒坂 慶樹

韓国の住宅投資は、不動産バブル崩壊から約2年で回復しつつある。他方、日本では土地バブル崩壊からの回復に10年ほどを要した。日本の土地バブルとの最大の違いは、韓国では家計のみがバブルを引き起こした点である。現在の住宅投資の回復局面においても、需要の回復と投資目的により家計が住宅投資を支えている 。

まず実需について、韓国の持ち家比率は60%台と日本と大差はないが、定住志向が低い国民性ゆえ常に新規の住宅需要が発生している。定住志向が低いのは、韓国全土の住宅に占めるアパートの比率が年々高まっているためだ。2000年当時はアパートの比率が48%であるが、03年の住宅建設実績では住宅建設に占めるアパートの割合は80%(ソウル市は72%、ソウルのベッドタウンである京畿道は83%)と、近年アパートが急増している。全国土面積の0.6%でGDPの23%を稼ぐソウルの人口密度は必然的に高まる。5年~10年で転居するライフスタイルが実需を支える。

また、投資目的で住宅不動産を保有するケースも少なくない。不動産バブル抑制を目的とし、03年10月に政府が発表した不動産投機抑制策は、譲渡時に払う譲渡所得税の税率引き上げが主であった。実際の適用は05年からであったため、04年に売却圧力が高まり、不動産価格の急激な下落を引き起こした。05年以降、住宅不動産の譲渡時には引き上げ後の税率が適用される。早期売却の必要性がなくなったため売却圧力は弱まった。同時に住宅価格も下げ止まり、投資目的の不動産所有も増加しつつある。ソウル市の南部や周辺の住宅都市の一部では不動産価格が急騰し、キャピタルゲインを確保できる状況にある。

住宅投資の増加は当面続くであろうが、不動産バブルが再発する可能性は低い。不動産バブルと同時に起きたクレジットカードバブルの後遺症により、現在、家計のバランスシートが縮小しているためだ。不動産投資をする余力を持つ家計は多くなく、前回のように広域に価格上昇が波及する可能性は低い。しかし、定住志向が低い国民性が変わらず、ソウル主導の経済成長が続く限り、実需は常に生まれ続けるのである。
 

 

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