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ヘッジ・ファンド投資のリスク

2005年07月13日

俊野 雅司

最近、年金資産運用の対象としてヘッジ・ファンドに対する関心が高まっている。大和総研が今年の4月に実施したアンケート調査においても、130以上の国内の年金スポンサーからヘッジ・ファンド投資を実施中であるという回答結果が得られた。安全性に対する要請の高い年金資産運用の対象としては、複数のファンドへ分散投資するファンド・オブ・ファンズ(FOF)型のヘッジ・ファンド投資が主流になっているのが現状である。

従来は、ヘッジ・ファンドというと非常に高リスクという印象が強く、年金資産運用の対象として相応しくないのではないかという意見が根強かった。しかしながら、市場中立(マーケット・ニュートラル)型と呼ばれるタイプのヘッジ・ファンドでは、割安な証券を買い、割高な証券を売ることによって、収益を挙げようとするため、市場全体の価格変動リスクを負わず、リスク水準がかなり抑えられている。そのため、このようなヘッジ・ファンドを国内債券に対する代替的資産という位置づけで導入するケースが少なくない。ところが、このように巨額の資産を運用する年金資金がヘッジ・ファンド市場へ本格的に参入していった場合には、いくつかの懸念材料が発生すると考えられる。

1つには、もともとヘッジ・ファンドは、ブティック型の運用者が市場価格の歪みの存在に注目して、これらの歪みが修正される過程で、収益を稼ごうとする運用形態が中心であり、必ずしもすべてのタイプのファンドが大きな金額の運用に向いているとは限らないという点である。今後、ヘッジ・ファンドに対する投資ニーズが増加していったとしても、それに見合うだけの供給余力が存在するのかという点が問題となっていくであろう。需給のバランスが需要側に過度に偏ると、期待リターンの大幅な低下とそれに伴うヘッジ・ファンドに対する投資魅力の減衰という問題が起こる可能性があるので、注意が必要である。

もう1点は、今後、FOF形態のヘッジ・ファンドへの資金流入が続いていった場合には、投資家の予想していなかったようなファンドへ投資が行われるリスクが高まるであろうという問題である。市場中立型のファンドのように資金の受け入れ余力に一定の限界があると考えられるファンドを探すことがむずかしくなっていった場合には、投資対象として好ましいかというよりは、資金を受け入れるファンドが存在するかという観点からファンド選択が行われるようになる可能性が高い。そのため、FOF型のヘッジ・ファンドに投資する場合には、どのようなタイプのファンドを組み入れているのかをこまめにチェックすることが重要であろうと思われる。

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