売上も儲けも見込めるサービス産業
2005年06月14日
起業家が事業を興すときの一番のネックは、いつの世も客と金と言われる。聞くところによれば、起業家の悩みの種である顧客開拓や金融支援を取り持つブローカーや自称経営コンサルタントが暗躍しているらしい。ブームの渦中にあるビジネスの本丸よりも、こういった外延分野の方が何やら勢いがありそうだ。先行き不透明な時代の中、いわば小判鮫商法的なサービス業が、今は一番確実な商売なのかも知れない。
変幻極まりないサービス産業の実体を、数値によって実体経済面と投資評価の両面からトレースしてみる。まず、マクロ経済面から。2000年の32部門産業連関表から最終需要生産誘発係数(※1) をランキングしてみると、上位5位までが商業(生産誘発係数0.169)、建設(同0.134)、対事業所サービス(同0.133)、不動産(同0.115)、対個人サービス(同0.102)などのサービス分野で占められる。サービス分野は電機や自動車などの製造業を上回るほど景気に対して感応的に動き、かつ売上もしっかりと上げているのである。
対事業所サービス」とは、テレビ・ラジオ広告、新聞雑誌、情報処理サービス、ソフトウエア業、ニュース供給・興信所、建機や事務用品などのリース業全般、法務・財務・会計サービス、人材派遣などである。また、「対個人サービス」は、映画館、貸ビデオ屋、ゲームセンター、競輪・競馬、飲食・喫茶店、旅館・ホテル、洗濯屋、美容院、床屋、銭湯、写真館、冠婚葬祭業、家庭教師などであり、これは我々にも馴染みが深い。
サービス分野の売上が堅調であることは分かったが、肝心の事業採算はどうなのか。この点については、投資評価の面から大和証券グループと一橋大学大学院国際企業戦略研究科が共同研究したセグメント・ベータ値(※2) が参考になる。この値が大きいほどリスクもあるが儲けの度合いも大きい。同値の上位は、インターネットサービス(セグメント・ベータ値1.572)、人材派遣(同1.247)、広告(同1.206)、ソフトウェア(同1.174)、情報処理サービス(同1.146)、情報メディア(同1.063)、電気機器卸売(同1.054)などが常連である。これらのサービス業はとりわけ多くの営業リスクに晒されることになるが、それでもビジネスに賭けたい人はどうぞこういった分野でチャレンジを、ということであろうか。
(※1)最終需要の各項目に追加的に1単位の需要が生じた際に、各産業が直接・間接に誘発される生産額のこと。本例では、最終需要が1単位生じると32部門全体で最終的に1.67単位の生産が誘発される。
(※2)β値の推計に際して一企業一業種と仮定せずに、事業部別セグメント情報を用いた推定を行っている。また、財務リスクの影響は取り除いてある。
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