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外患の香港、内憂の中国の流れが変わるには

2005年04月06日

櫛田 雅弘

3月が終わり、香港市場に上場する主要企業の決算発表がほぼ出揃った。個別株では、好不調のサプライズ決算もあったが、概ね予想と大きく違わぬ結果となった。

香港をベースとする企業は、その大半が大幅増益を達成した。不動産セクターは、物件価格の上昇と取引量の増大、銀行セクターは、デフレを脱した環境下で不良債権への引当金が減少、小売セクターは、香港居住者の消費性向の回復と中国本土からの観光客の増加、が収益増加の牽引役となった。

香港経済は順調な回復が続くとみており、香港株のファンダメンタルズには危惧する点が少ないが、米国の金利動向に世界中の投資家が神経質になっている今日この頃、米ドルとペグ制を敷く香港金融界も、追随利上げを行なえば、株式市場にとってはネガティブだろうし、追随しなければ、米ドルとの金利差拡大で、香港ドル資産の離散を招き、どちらにしても売り方を助長しているように思われる。バリュエーション面での割安感、中国本土とともに発展する香港の中期的展望が、買いに向かう理由となろうが、当面は、独自要因より米国を中心とした外部要因が、株価のレンジを決める展開が続こう。

H株、レッドチップといった中国関連銘柄の動向はさまざまである。原油高を背景に石油セクターが予想どおりの好決算を発表する一方、素材、電力セクターでは原料、燃料高の影響が下期に入って顕在化し始めている。ハイテクセクターは、数量は増えるが、市況低下の影響をカバーしきれない銘柄も多い。

インフレ(一次産品、サービス、不動産)とデフレ(自動車、電機などの最終製品)が同居する中国を本拠とする中国銘柄のファンダメンタルズはより複雑である。自社の提供する財、サービスの価格が上がる(下がる)銘柄、仕入れる財の価格が上がる(下がる)銘柄が混在しているからだ。加えて、ここ数年の投資ブームで、2-3年後の需給関係が変化するセクターも出てこよう。先の全人代からは、バランスを重視した健全な経済成長を、中国政府が強く望んでいることが再確認された。全体的な方向性は好感され、人民元切り上げ憶測も根強く、中国関連銘柄への投資を増やす意向をもつ投資家は多いだろうが、香港株と異なり、企業ファンダメンタルズにはさほど強気になれないのがネックである。

ミクロ面での不透明感があるものの、香港に上場する中国銘柄は、中国の各業界のエース級企業、若しくはその優良資産を分離上場させたものが多く、将来の勝ち組となりそうな企業が多い点は、中長期投資を目的とする投資家を引き付ける。昨年は、保険、通信、空運といったセクターで、中国企業の新規公開が行なわれたが、今年は、銀行、石炭、自動車といったセクターで新規上場が予定されている。幅広い産業への投資選択肢が増えることも、中国関連銘柄への投資を活性化する一助になることが期待される。

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