5期連続増益予想、持続成長への挑戦続く

~続ける構造改革、強化する成長戦略~

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2004年12月29日

  • 髙品 佳正
大和総研では、企業業績見通しの改訂(前回9月の2004年度第2次予想に続く、04年度第3次予想(※1)を行った。アナリストの予想を集計(※2)した、金融を除く全産業ベース(業績集計対象310社から金融機関を除いた300社合計=DIR300)の経常利益は、04年度予想:24.4%増益、05年度予想:3.5%増益、06年度予想:9.3%増益となった。企業業績は02年度に73.7%経常増益のV字回復、03年度に25.1%増益で過去最高(00年度)を更新したのに続き、04年度以降も増益基調を維持、02年度から06年度まで5期連続増益が見込まれる。04年度後半から05年度の景気減速局面では、半期ベースで見た利益成長モメンタムが05年度上期(前年同期比1.0%の経常減益予想)にかけて低下するが、05年度下期には回復する見通し。海外需要・設備投資の減速を主因とする調整は浅く短いものとなり、05年度は低空飛行ながらも増益基調を維持、06年度は増益率が再び上昇すると予想している。

前回予想(04年9月時点)比では、予想経常利益額は04年度が1.8%増額修正された一方、05年度は1.0%減額修正となった。鉄鋼に代表される素材(製造業)がアジアでの需要増加、タイトな需給を背景に、原料価格高騰を製品値上げで吸収し増額修正トレンドを維持した。一方、加工組立(製造業)は、1)ハイテク製品の需要伸び悩み、2)想定を上回る価格低下、3)円高デメリット拡大、などから減額修正となり、05年度は全体でも減額修正となった。電機を中心とする加工組立の調整感は強まっているものの、1)成長分野で増収を確保、2)構造改革継続により固定費増加を抑制、3)円高抵抗力も高まっている、ことから、05年度の増収増益予想、全体の増益を加工組立がけん引するとの見方は変わっていない。

米国、中国をはじめとする海外経済のソフトランディングが期待されるとともに、原油に代表される素材価格の高騰も一部で落ち着きを見せている。世界景気は減速しつつも安定成長が見込まれる。また、企業は構造改革によるコスト抑制、バランスシートの改善を継続する一方、潤沢なキャッシュ・フローを背景に設備投資・研究開発投資を増額するなど、1)中国をはじめとする海外市場、2)ハイテク製品向けのキー・デバイス等の高付加価値製品、を軸とする成長戦略を強化する姿勢を見せている。日本企業が進化を着実に続け長期的に増益基調を維持する可能性はあるとみている。

(※1) 2004年12月9日発表。

(※2) 基本的には、88年度以降のデータをもとに連結ベースで集計を行っている。ただし、連結決算を発表していない一部企業については、非連結決算(単体)を集計している。
また、本調査においては、総合商社の売上高には売上高総利益の数字を代用している。
●主要企業業績見通し

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