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証券仲介業解禁に寄せて

2004年12月15日

清田 瞭

近年、インターネットをはじめ情報化社会の進展が著しいが、情報も余り多くなるとその必要性や重要性の判断が難しくなることは衆目が認めるところである。情報の仲立ちをする者の果たす役割は、氾濫する情報の中から情報を適切に取捨選択すること、その情報を正確に伝達することであるが、それと同時に情報を仲立ちする者が与える安心感も大きい。まして、金銭の関わる取引についての情報であれば尚更である。

さて、2004年4月1日に「証券取引法等の一部を改正する法律」が施行されたことに伴い、「証券仲介業」が事業会社や個人(会計士、税理士、フィナンシャルプランナーなど)に認められた。この12月からは、都市銀行、地方銀行、信用金庫などの金融機関にも同様に証券仲介業が解禁された。これら証券取引の窓口拡大を通じて1400兆円以上といわれる個人金融資産を証券市場に導く効果が期待されている。銀行・保険、事業法人などにとっては、新たな業務分野の拡大に伴う新規顧客層の獲得が、個人投資家にとっては、証券市場へのアクセスチャネルの拡充・多様化及び投資情報の充実などによる利便性の向上に寄与するともの考えられている。

現状を考えると、金融商品は、差別化の難しい分野である。例えば、株式売買においてオンライン取引が増加した状況を見ると、対面でのアドバイスによる差別化より、手数料の安さを志向した個人投資家が多く存在したことを示している。結果として証券取引所の株式売買高の伸びと比較して委託手数料は伸長していない。しかし、同時に24時間いつでも注文を受け付けることが出来るといった利便性の向上から、証券市場に新たな投資家を呼び込んだ効果も看過できない。

今回の証券仲介業解禁は、間接金融から直接金融へ、貯蓄から投資へ といった日本の金融システムを市場型へ移行することを促す大きな流れに沿ったものである。投資家と市場の仲立ちをする者として証券会社あるいは、新規の証券仲介業者がそれぞれ差別化を図り、投資家の支持を得られるように努力していくことになった。この改正によって、投資家が単独で商品・サービスを選択する以上に、より的確な選択が可能となり、既存の投資家に加え、証券市場に関わってこなかった新たな投資家が市場に参加することが期待される。その結果、投資家の満足と健全な資本市場の発展に資することになれば、大変喜ばしいことである。

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