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日本企業の金余り

2004年12月06日

取越 達哉

日本企業の金余りは、かつて無いほどの規模になっている。そのことは、非金融法人企業の資金余剰(≒「キャッシュ・フロー」-「設備・在庫・土地投資」)が32兆円(GDP比6%強.2003年度)に達していることに表れている。2004年度入り後も、その傾向は続いていると見られる。余剰資金が今後、設備投資へ向かうようになれば、日本経済の本格回復シナリオを描くことができる。もちろん最近の米国の例からも明らかなように、ある程度成熟した経済においては、企業が資金余剰と設備投資の増加を両立させることは必ずしも珍しいことではない。ただ、近年におけるわが国企業の資金余剰の拡大は、極めて大規模なものであっただけに、その揺り戻しが訪れる可能性があると考えることは自然であろう。

日本企業の資金余剰が拡大してしまった原因は、金融面(地価下落に伴う企業のバランスシート悪化、銀行の貸出態度の変化など)、実体経済面双方に求められる。もっとも、金融面においては徐々に前向きの変化が生じつつあることから、今後の資金余剰の動向を考える上では、実体経済面、とりわけ中長期的な期待成長率がポイントとなる。ただよく知られているように(また直感的にも明らかなように)、中長期的な期待成長率は、実際には短期的な景気に大きく影響される。したがって、今後予想される景気調整局面においてマイナス成長が回避され(90年代以降の3度の後退局面では例外なくマイナス成長を記録した)、再び景気回復軌道に復することができるならば、それ自身が期待成長率のトレンド変化を通じて、資金余剰幅の押し下げ(設備投資の押し上げ)要因になりうるのではないだろうか。

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