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江戸時代の大阪が持っていたもの

2004年12月01日

原田 泰

大阪に講演に行く機会があったのだが、講演会場は、その昔、堂島の米の取引所があったところだった。ここで米を対象に、世界で最初の先物市場が生まれたのだと思うと、講演にも熱が入った。

さて、現在、大阪は停滞しているとビジネス誌などで度々書かれている。しかし、ここ大阪で、世界で最初の先物市場を作るという先駆的な取り組みがなされたのだ。利益と損失の確定のために、先物市場が便利だったからだ。この先駆的精神さえあれば、大阪が停滞することなどありえない。

大阪商人が発見したことは、価格は機能し、利益と損失を確定することは良いことだということだった。また、大阪の大商人は、みなこの近辺に住んでいた。それゆえに彼らは大阪の街を愛し、美しく活気ある街にするようにと気を配っていた。

現在の大阪に欠けていて、江戸時代の大阪が持っていたものはこの二つ、利益と損失を確定することは良いことだという認識と、豊かな人々が市内中心部に住んでいるということではないだろうか。講演会にいらっしゃった大阪財界の方々も、多くは市内には住んではおられないということだった。

大阪には公共団体の持っている未利用の土地が大量にある。この土地を放出すれば、地価は下がるだろう。しかし、損失は確定する。財務的に問題のある団体が土地を持っていれば、土地はいつ出てくるか分からず、いつまでも上がらない。しかし、すべての土地を放出してしまえば、一時は下がっても、底からは上がってくる。

この土地を、区画を大きく、分割禁止、戸数制限条項(マンション建設を禁止するため)、低い容積率を付けて、豊かな人々に住宅地として売却すれば、現在の大阪は江戸時代の大阪に戻れることになる。これは大阪に活気を与えるのではないだろうか。

これは豊かな人々だけが得をする方策ではない。現在一番豊かな人々が自宅を売却してここに移り住めば、2番目に豊かな人はより良い中古住宅に移動できる。この過程が続けば、大阪のすべての人の住宅が、皆1ランク、アップする。これだけのことでも、やってみる価値はあるのではないか。

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