未公開会社の株券廃止に向けて
2004年07月27日
(1)名義株主(その相続人等を含む)と株式の取得者の共同請求
(2)(利害関係者の利害を害する虞がない場合)株式の取得者による単独請求
(3)(利害関係者の利害を害する虞がない場合)(名義株主や株式の取得者の)請求によらずに発行会社が名義書換
これらのうち(1)が原則的な方法である。(2)及び(3)は一定の条件を充たす場合にのみ認められる例外的な方法ということになる。具体的にどのような場合に、(2)及び(3)の方法が認められるかについては、現在、法務省から商法施行規則改正案として原案が示されている。(3)の方法(名義株主や株式の取得者の請求によらずに発行会社による株主名簿の名義書換が認められるケース)については、次のものが挙げられている。
◇株式交換・株式移転による完全子会社化
◇新株予約権の行使・合併・株式交換・会社分割による自己株式の移転
◇株式買取請求権(単元未満株の買取請求を含む)の行使
しかし、(3)の方法が認められるのがこれらのケースだけでは対応として、不十分なように思われる。具体的には、次のケースについても認めるべきではないだろうか。
◇自己株式取得の場合
◇自己株式処分の場合
◇単元未満株の買増請求の場合
◇所在不明株主の株式処分の場合
確かに、非公開会社の場合、これらのケースは頻繁に生じるのものではないかもしれない。しかし、これらの制度の円滑な実施のためには、発行会社が、名義株主や株式の取得者の請求によらずに株主名簿の名義書換できることを認めるべきように思われる。今後、最終的な商法施行規則の制定に向けて、検討を望みたい。
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