地域再生

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2004年07月07日

  • 星野 菜穂子
昨年12月、内閣に地域再生本部が設置され、‘地域の再生’は重要な政策課題の一つになっている。おそらく、今後も注目を集めていくテーマの一つに違いない。

地域再生本部が示す、地域再生の基本的考え方は、地域の「自助と自立の精神」「知恵と工夫の競争による活性化」を尊重しつつ、現場である地域の視点から自発的に立案し、これらを通じて地域経済の活性化、地域雇用の創造を実現するというものである。また、国はその地域の取組を全面的に支援する、としている。このような‘地域再生’の内実は、今後の具体的な取り組みの中身にこそ示されるものではあるが、従来の地域政策の流れの中に位置付けることも重要だろう。

現代日本の地域政策は、1950年の国土総合開発法に始まり、1960年の国民所得倍増計画を前提とした、全国総合開発計画(1962年、1全総〈地域間の均衡ある発展〉)、その後の新全国総合開発計画(1969年、新全総〈豊かな環境の創造〉)、3全総(1977年、〈人間居住の総合的環境の整備〉、定住圏構想)、4全総(1987年〈多極分散型国土の構築〉)、5全総(1998年〈多軸型国土構造形成の基礎づくり〉)という流れを辿った。紙幅の関係上、詳しくは触れないが、従来の地域政策の基本は、企業内の垂直的分業を反映した国土の垂直構造を形成し、その中で、地域間格差是正を講じていくというものであった。しかし、経済のグローバリゼーションに伴い、従来型の地域政策というものが維持不可能になってきた。このような流れの中での‘地域再生’は、グローバリゼーションを伴う産業構造の変化に対応できない地域政策の行き詰まりの反映であり、財政危機も相まって、国家の役割と負担を縮小し、地方に地域再生の責任を転嫁しているようにもみえる。

一方で、地域再生における地域の自発的な取り組み、既存資源の活用といった視点は、誰のための地域再生か、を十分に踏まえた上でならば、地域を主体性をもった概念として捉えなおし、内発的な発展に目を向ける契機となる可能性も含んでいる。従来の地域の概念は、あくまでも企業立地に対応した東京を頭とする手足としての受動的な位置付けの‘地域’でしかなかい面もあった。今後、地域再生が、新たな地域政策として位置付けることができるのかどうか、また、地方分権と本来の意味で結び付いていけるのかどうか、そのためには何が必要なのか、今後の具体的な取り組みも含め、詳細にみていく必要がある課題といえよう。

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