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信託業法の改正

2004年05月27日

中田 綾

平成16年3月5日、現在開会中の第159回国会に信託業法案が提出された。従来から、(1)信託業法で規定されている信託業の参入基準が不明確であり、事業会社の信託業への参入が阻害されていること(注1)、(2)種々の財産権を対象とする信託を資金調達手段として用いることへのニーズが高まっていること、などの理由から信託業法改正の必要性が指摘されてきた。そこで、昨年7月に金融庁より公表された「信託業のあり方に関する中間報告書」において信託業法改正の具体的な論点が示され、今回の法案提出に至った。

提出された法案の主な内容は主に次3点である。第一に、「金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地およびその定着物・地上権および土地の賃借権」に限定されている信託可能財産を、「特許権・著作権などの知的財産権や売掛債権、映画・ゲームソフト」など財産一般権に拡大すること。第二に、信託会社の業務内容に応じた参入基準を設け、金融機関以外の株式会社が参入できるようにすること。第三に、信託契約代理店制度(信託契約の締結の代理または媒介)と信託受益権販売業者制度(信託受益権の販売または代理・媒介)を創設し、現在、金融機関に限られている信託代理店業務を、金融機関以外の法人や個人もできるようにすること。 

信託業法が改正されることで、信託ビジネスが更に拡大することが期待される。一方、今後の課題は、その他の法律、特に信託法との関係であろう。

信託業法は信託会社の規制や監督のあり方を定めたものであり、信託に関する私法上の権利義務関係は信託法で定められている。にもかかわらず、国会に提出された法案は信託業法案のみである。信託ビジネスは時代のニーズに合わせ拡大していくが、権利義務は、80年前に定められたままということになりかねない(注2)。もちろん、信託業法案の早期成立は望まれるが、信託業法改正を始めとする関係法令の制度整備にも注視する必要がある。

(注1)事実上、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき認可を得た金融機関のみが信託業務を営んでいる。
(注2)信託法は大正11年に制定された。

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