IT化が進む現代における宗教

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2004年05月26日

  • 石田 佳宏
麻生総務相が平成16年5月11日の経済財政諮問会議で提案した2010年を目標とする次世代のIT戦略「ユビキタスネット・ジャパン(u-Japan)構想において、その構想の経済波及効果は120兆円と試算している。高齢化社会に不可欠なITを使った遠隔医療の確立や高度なIT技術者の育成が目玉だそうだ。これらが実現すると、利用者は音声でテレビや携帯電話を操作し、自宅から病院に体温や脈拍などを送って医師の診察を受けたり、外出先で自宅の戸締まりを確認したりできるようになるらしい。IT技術が安全で簡単に利用できれば、経済効果が大きくなるのも頷ける。まして、双方向の利用が医療等にも広がるのであれば影響は大きい。医療は対面が基本との先入観から開放され、自宅療養も簡易になるであろう。対面といえば、宗教においてのIT化はどうだろう。各宗教においては、ホームページは作成されてはいるようだが、18万の宗教法人からすると、まだまだ少ないように思われる。宗教界においてIT化は進んでいるのだろうか。

ここで、ITに関する書物として、(1)1991年発行の「メディア布教入門」(教化フォーラムZ著)と(2)2003年発行の「IT時代の宗教を考える」(井上順孝編)を比較してみるとIT化の変化がみられる。どちらも布教活動のメディアを意識したものであるが、前者においては、広報誌である「寺報」、「はがき」「掲示板(施設の前に掲示)」「テレホン法話」「文庫活動」「出版」がメインとしており、パソコン通信は将来のメディアとしている。一方、後者においては、ホームページを前提とした、メールや掲示板を利用したバーチャル相談等がメインとなってきている。宗教においても、ここ12年でIT利用は進んでいるように思える。

今回の構想でIT技術の安全性や簡便さが進めば利用層が更に広がり、ITに馴染まなかった高齢層や低年齢層などにも普及するであろう。そうなれば、宗教界においても、ITに無関心だった信者や関係者などにも対応せざるをえなくなるではあろう。日本の宗教界においても、2010年に向けたIT戦略構想に取り組んでみてはいかがだろうか。

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