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米・中とのFTA締結に動く資源立国オーストラリア

2004年04月09日

山田 雪乃

欧米に比べて自由貿易協定(FTA)締結に出遅れ感の強かったアジアで、近年その動きが活発化している。豪州も例外ではない。輸出の約6割が農産物や鉱物資源である豪州では、ニュージーランドとのFTA締結(1983年)以降、効果的な農業交渉を目的に、WTOをより重視していた。

しかし近年、この政策を180度転換。03年2月に5年ぶりに発表した『外交・貿易白書』では、WTOを通じた多国間の貿易自由化も重要だが、輸出業を高水準で強化していくためには、二国間貿易協定の推進がより必要だとの見解を示した。02年にシンガポール、03年には農業分野で競合するタイともFTAを締結している。

そして第四のFTA締結国として、04年2月には米国とFTA草案に合意した。豪州第二の輸出相手国Ⅰである米国への輸出の主体は、牛肉や乳製品、砂糖など農産物。草案では、農業関連商品33品目の対米輸出に対するセーフガード発令措置が盛り込まれたものの、豪農相は、米産業を著しく阻害しない限りセーフガード措置は免除され、FTA発効は牛肉や乳製品、羊肉、魚介類など米国向け輸出を増加させる効果があるとしている。

次のターゲットは中国
豪州の次なるターゲットは成長著しい中国だ。03年10月、経済や貿易に関する枠組み協定を締結し、04年1月にはFTAの実行性について実務レベルで協議が持たれた。豪外務貿易省は03年10月、『中国産業の発展:東アジアの挑戦』で、豪州と補完関係にある中国の高成長は豪州にとって好機であり、今後中国シフトが加速する見通しを示している。08年には中国が第一の輸出相手国に躍り出る可能性も浮上している。豪州は中国へ小麦や羊毛などの農産物や鉄鉱石などを輸出し、中国からはコンピューター機器等ハイテク製品、衣類や玩具を輸入する。貿易特化係数Ⅱからも明らかなように、両国間には高度な補完関係が成立しており、貿易関係の強化は双方にとって有益だ。中国とのFTA締結を急ぐ東アジアやASEAN諸国が同国と激しい競合関係にあるのに比べ、豪州は頭一つ抜きんでている。豪中FTAの早期締結への期待は大きいだろう。

Ⅰ) 輸出シェアの高い順に、日本(18.2%)、米国(8.7%)、中国(8.3%)、ニュージーランド(7.5%)、韓国(7.4%)と並ぶ。シンガポールは3.2%、タイは2.1%(いずれも03年)。
Ⅱ) (輸出-輸入)/(輸出+輸入)で算出。係数は+1から-1の間を取り、プラスの値は優位、マイナスの値は劣位を示す。プラスの数値が大きくなるほど輸出競争力が高いことを意味する。

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