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個人消費の転換がもたらす小売セクターの上昇

2004年04月07日

古島 次郎

90年代前半の米国では、個人の所得やマインドが好転しなかったにも拘わらず、資産価格が底打ちした時点から個人消費や住宅着工など急速に改善していた。本格的な資産効果が発現するのは90年代後半だが、金利引き下げ効果のみならず、株式などの資産価格の上昇期待が消費を刺激した好例だろう。

日本では足下、個人消費全体が拡大基調に転じ始めたと思わせるいくつかの兆候が見られる。90年代前半の米国同様、これまで目減りする一方で逆資産効果をもたらしていた個人の金融・不動産資産価格の改善効果によるところが大きいと思われる。相場の回復により個人の株式資産価値は03年末には前年比26.2%増価している。また、04年1月の公示地価において住宅地が6年ぶりに下落幅が縮小。東京都区部では既に5年前から下落幅は縮小しているが、都心部では横ばいとなっているほか千葉県浦安市など好条件が整った一部郊外で上昇に転じる地点も観測されている。資産価格の上昇を享受できる層が確実に広がってきていることが確認された。

91~93年にかけて米国では個人消費の好転を受けて関連銘柄が高パフォーマンスとなっている(同期間の一般消費財・サービスの上昇率は+83.2%、SP500は+33.6%)。この間のバリュエーションをPERで見てみると、マクロ環境の変化を受けて消費が拡大に転じた91年末に一時的にバリュエーションの上昇が見られる。このところの株価の上昇によりバリュエーションが高まっている日本の小売セクターだが、消費が好転してきているというマクロ環境を織り込む余地はまだあるのではないだろうか。

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