長期・循環底上げ相場の可能性

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2004年03月31日

  • 三宅 一弘
日本株の現在位置を長期観点からどう捉えるべきであろうか。一つは80年代前半との類似性に注目する。当時は原油・商品市況高の中で、日本企業の軽薄短小や省エネ技術の優位性が注目され、日本の自動車(小型車)が米国で人気を博し、大型商品となるVTRの登場で日本の電機・ハイテク株が人気を集めた。今回、原油高環境が続き、中国などで環境問題に関心が高まれば、日本の省エネ・環境技術が再び注目されるだろう。ハイブリッド車やエコカーで世界の最先端を行く日本の自動車、20年ぶりの大型新商品登場となる薄型テレビをはじめとするデジタル家電である。

90年代のPCブーム時には米国を中心に韓国、台湾などの企業が収益を伸ばし、繁栄を謳歌する一方、日本企業はお呼びでなかった。ところが、日本の自動車産業はこの間も国際競争力を高め、次代を占う環境・燃料電池や自動車電装のハイテク化などの分野でも、最先端を走っている。自動車や今後の成長が期待される薄型テレビなどデジタル家電の分野では、メーカーと部品・部材会社が協働しながら、部品から製品まで一貫して開発・生産し、付加価値の大部分を取りに行く「垂直統合型」モデルに優位性があるようだ。その過程では、マニュアル化しにくい技術・ノウハウをメーカーや部品・部材会社などが持ち寄り、すり合わせしながら製品の競争力を高めていく。ある面で日本企業が得意とするお家芸でもある。普及期に入るデジタル家電で日本企業が主役を演じる可能性は十二分にあり得よう。

加えて、今回の相場は上記だけではない。まさに10数年間の構造調整からの脱出、「デフレ脱却」という極めて大きな柱がある。デフレ脱却ならば、銀行や不動産など内需関連セクターが絶大な恩恵を受けるはずだ。猛烈な縮小均衡が続いてきた設備投資も、一転、長期拡大基調に転じる可能性が高い。さらに、お隣の中国は、まだまだ高成長を続けるであろう。

このようにみると、現在の日本株がおかれた位置は、(1)日本の得意とする「技術」、お家芸の復活、(2)デフレ脱却、(3)設備投資の本格復調、(4)中国の成長に便乗など、過去の局面に比べて、非常に大きな柱を、いくつも抱えている。しかも日本企業の経営体質は確実に強化されている。市況性格は、90年代にみられた3回の構造調整下の短命相場と根本的に異なるだろう。一極集中よりも、多極的な柱に乗る戦略がベターとみる。好業績と割安性の2軸に基づく長期・循環底上げ相場に発展する余地が大きいだろう。

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