サマリー
◆本レポートでは、扶養者のいない20~34歳男女のフルタイム労働者の実質可処分所得を1980年から2024年の45年間にわたって推計した。
◆1980年から2015年頃にかけて、社会保険料率はほぼ一貫して上昇したが、1996年頃までは実質賃金の伸びがそれを上回り実質可処分所得は上昇トレンドにあった。1996年頃から実質賃金の伸びが鈍化したため、実質可処分所得は、女性および20~24歳男性は概ね横ばいになり、25~34歳男性は下降トレンドに入った。
◆2015年頃に社会保険料率の上昇が一服し、実質賃金が緩やかな上昇トレンドに転換したため、2015年から2019年にかけて実質可処分所得が上昇し、2019年時点で30~34歳男性を除き1996年の水準を上回った。その後は物価上昇に賃金が追い付かず、2024年の実質可処分所得は2019年より低い水準となっている。
◆本レポートの推計では、2019年には多くのケースで実質可処分所得が過去最高を更新していた。長期的な社会保険料率の引上げがありながらも、若者全般が貧しくなっているわけではない。足元の暮らし向きの悪化は急速な物価上昇で実質賃金が低下したために生じており、物価の安定が当面の政策課題だ。長期的には社会保険料率の安定が政策課題となるだろう。
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