2025年10月16日
サマリー
◆GPIFは2024年度業務概況書等で、ESG指数投資額の最適化に向けた取組を進めており、2025年3月末時点で国内株式の15.9%を占めるESG指数投資の割合を同年5月末までに約13%まで低下させたことを明らかにしている。これは、僅か2ヵ月間で、ESG株式指数に連動する運用を約9.8兆円から約8.4兆円 に1.8兆円程度削減した可能性があることを意味する。
◆なぜ、短期間でESG指数投資を大幅に削減したのかについては、業務概況書のコラム「ESG指数投資額の最適化に向けた取組」で解説をしているが、そこからはその真意を読み解くことは難しい。
◆ESG指数投資は、企業のESG対応強化のインセンティブとなり、企業の行動変容を促すことで市場の持続可能性を高めるというベータ・アクティビズムの観点でも、市場平均収益率の確保という観点でも、ESG指数投資を始めた当初からの期待を大きく損なっているようには見えない。
◆GPIFの運用資金は、被保険者に対する高い説明責任を負っていることは言うまでもないことであるが、殊、ESG指数投資においては、企業にESGに関する取組の強化を促し、市場全体の持続可能性を高めるということも目的にしている。
◆GPIFによるESG投資への強いコミットメントが、日本企業のESG投資のスタンスを変えてきたことを考えれば、GPIFのスタンスの変化は、日本のサステナブルファイナンスの行方に大きな影響を及ぼす可能性がある。現在行われているESG指数・ESGファンドの選定とその後のGPIFのメッセージには注目したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
日本の上場企業における女性管理職比率と男女間賃金格差の現状と変化
有価証券報告書における情報開示の義務化から3年を経て
2026年10月23日
-
サステナブル投資に反転と深化の兆し
インベストメントチェーンの変化を複数のアンケート結果が示唆
2026年10月21日
-
生物多様性条約第17回締約国会議の注目点
初回グローバルレビューで問われる、目標達成への道筋
2026年10月09日
最新のレポート・コラム
-
利用広がる議決権パススルー
投資信託のリテール顧客による議決権行使の選択が現実のものに
2026年10月26日
-
日本版米国型AWMビジネスモデルを創出するための条件
~投資銀行型と商業銀行型の比較~『大和総研調査季報』2026年秋季号(Vol.64)掲載
2026年10月26日
-
次世代の「地域金融の課題と競争のあり方」
~最新データに基づく地域銀行の競争可能性の再試算~『大和総研調査季報』2026年秋季号(Vol.64)掲載
2026年10月26日
-
マル優・NISA等の非課税制度が家計金融資産に及ぼした影響の長期分析
~家計の国債保有優遇策の検討に向けた政策的示唆~『大和総研調査季報』2026年秋季号(Vol.64)掲載
2026年10月26日
-
子どもが幼いうちは子育てに専念したい世帯にも目配りを
2026年10月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日


