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常識の非常識

2004年03月18日

内藤 武史

豆腐と納豆について、今ではその呼び方に疑問を持つ人は少ない。だが、ちょっと考えてみると、豆が腐ったのが納豆で、豆を納めたのが豆腐ではないかということに気がつく。世間にはこういう常識の非常識があまた存在する。

大学の2009年問題が喧伝されて久しい。少子・高齢化に伴い、1991年には206万人強に達した18歳人口が2009年には121万人にまで減少し、大学入学者数の大幅な定員割れを招来するという説である。まさしく“大学冬の時代”の到来である。だが、現実には18歳人口は大学入学者数の決定要因にはなっていない。1952~2002年の50年間の期間で、入学者数を18歳人口で回帰すると、決定係数は0.02とほぼゼロに近い結果となる。このことは両者にほとんど何の因果関係もないことを示している。大学入学者数の決定要因としては、むしろ名目GDP、現金給与総額、平均消費性向といった代表的な経済指標の方が有力である。

昨年10-12月期の実質GDPは前期比年率6.4%と13年半ぶりの高成長になったが、GDPデフレーターが前年比▲2.7%と大幅に低下したから成長がかさ上げされたのであり、経済はまだ脆弱であるという説がある。確かに、実質GDPは名目GDPをGDPデフレーターで除した値であるから、表面的には正しいようにみえる。だが、ここに落とし穴がある。GDPデフレーターは比較時の数量を基準として物価を算出するため、現在のように「PC・携帯・デジカメ等、経済に占めるウエイトが相対的に高い製品が存在し、かつ数年間でそれらの製品の価格が大幅に下落し消費数量が大幅に増加しており、さらに統計の基準年からの経過年数が大きい」場合、GDPデフレーターは大幅に低下することになる。この“からくり”を理解していれば、単純に「デフレ圧力は強く経済は脆弱である」とは言えなくなる。それどころか「経済が強いからGDPデフレーターの低下幅が拡大」していることに気づくのである。

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