サマリー
◆2025年9月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比+2.9%であった。前月から伸び率が拡大したが、政策要因によりエネルギー価格の伸び率がプラスに転じたことが要因だ。生鮮食品やエネルギーを除いた全国新コアコアCPIは、同+3.0%であった。連鎖方式の指数の季節調整値で見ると、3カ月後方移動平均値では前月比年率+1.5%であった。東京都の保育料無償化による一時的な下押しの影響が含まれる点には留意が必要だが、物価の上昇基調には弱さが見られる。
◆2025年9月のコアCPIの前年比の動きを財・サービス別に見ると、エネルギーの伸び率がプラスに転じた。他方で、耐久消費財と半耐久消費財、非耐久消費財(除く生鮮食品、エネルギー)、サービスは、いずれも前月からプラス幅が縮小した。
◆基調的な物価は前年比+2%程度で推移するとみている。食料価格の上昇率は徐々に鈍化していく見込みだ。米に関連する品目への波及も徐々に落ち着いていくとみられる。他方、人手不足の深刻化という構造的な課題を背景に、企業による賃上げの動きは続く見込みだ。それに伴う人件費の増加を販売価格に転嫁する動きも継続するだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2025年8月全国消費者物価
政策要因がコアCPIを押し下げるも、物価の上昇基調は引き続き強い
2025年09月19日
-
2025年7月全国消費者物価
単月で見れば弱めの結果も上昇基調は引き続き強い
2025年08月22日
-
2025年6月全国消費者物価
政策要因でコアCPIの伸び率縮小も、物価の上昇基調は引き続き強い
2025年07月18日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年10月貿易統計
トランプ関税の悪影響が継続。今後は米中リスクにも警戒が必要
2025年11月21日
-
2025年10月全国消費者物価
サービス価格や耐久消費財価格の上昇が物価上昇率を押し上げ
2025年11月21日
-
中国の渡航自粛要請は日本の実質GDPを0.1~0.4%下押し
今後は対中輸出などへの波及に要注意
2025年11月21日

