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ブッシュ再選は有利になったが

2004年01月16日

大和総研 顧問 岡野 進

フセイン元イラク大統領が拘束され、米国ではブッシュ大統領への支持が盛り返しているようだ。新政権樹立などがなかなか成果を挙げられずに、イラクでの米兵の犠牲が大きくなってきたことで、ブッシュ大統領のイラク政策への批判は強まっていた。しかし、今回のフセイン拘束で逆転現象が起きた。今年の大統領選挙での再選に向けて、大きなポイントを挙げたのは間違いない。ただし、フセイン拘束でもなかなか抵抗がやまず、米兵の犠牲も減らない事態が続けば、世論は再び批判に傾く可能性もある。

選挙においては、経済問題として雇用状勢がカギになる。そもそも景気の遅行指標である雇用は、やっと明るさが生まれてきたところだといえよう。被雇用者数(非農業)は7月をボトムにして増加を始めた。1990年代後半のような力強さはないが、恐らく月10万人程度のペースでの雇用拡大はしばらく続くだろう。とすると、ブッシュ大統領はこの1年で雇用を100万人以上増やしたと大統領選の時に胸を張ることができるかもしれない。現在の経済情勢も、現職のブッシュ大統領には有利な状況を作り出しているといえる。

「低すぎるインフレ」を心配し、「リスク管理型」を標榜する金融政策当局が金融緩和姿勢を修正する可能性も低いだろう。「90年代の日本」から、バブル崩壊後の一時的な景気拡大時に追加的な政策がなかったことが手遅れを招いたとの教訓を得たようだ。インフレの上振れリスクが生まれてきたときにのみ、政策の転換が起こり得るのではなかろうか。

むしろブッシュ大統領が再選された場合、その後に財政政策が必要とされる状況が訪れるかもしれない。04年は景気拡大の継続が予想されるとしても、減税効果がなくなり在庫循環的にも景気にネガティブな要因が生まれ、IT投資もピークであろう05年以降、再び景気が失速するリスクが高まる。減税余地も金融政策の余地も縮小していることから、支出サイドの財政政策の発動が求められ、その場合は国防費増額に向かう可能性が高い。

一方、民主党の有力候補、ハワード・ディーン(バーモント州知事)氏は、選挙キャンペーンで経済政策については重きを置いていないフシがある。経済政策で最も具体的なのは「ブッシュ減税の撤廃」であり、その第一歩としてクリントン政権時代の税率に戻すことをうたっている。財政支出面では、赤字拡大の承認に上院の60%の賛成が必要というルールを再度導入したいとしており、財政支出の抑制を掲げた。仮にディーン候補が当選しても議会での共和党優位の勢力分布、民主党内からの批判があることからみて、「ブッシュ減税の撤廃」が実現することはなさそうである。あるとしても、高額所得者の税率を若干見直すといった程度だろう。しかし、全体として財政緊縮路線に移行してしまうことは間違いない。



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