激動トレンドの中のグッドスタート
2004年01月07日
2004年は堅調な景気を背景に株式市場は上昇して始まりました。けれども、トレンドとしての激動は続きます。
2004年の国内政治最大のイベントは、7月の参院選です。昨年衆院選では勝利した小泉首相も、公明党・党内他勢力の伸張と共に力を失う可能性もあります。防衛問題以外に独自色を打ち出せなくなったと感じた首相がどう行動するか、注目されます。小泉人気が衰えれば、民主党の再度の伸張もありえます。
金融制度がどう変わるかも大きな問題です。銀行の証券仲介業務、市場誘導業務が認められた場合、銀行・証券各社が具体的にどういう協力を目標とするか注目されます。もっとも、米国の例を見ると基本的に銀行と証券会社は持株会社の下で兄弟として協力するのが普通ですが。
筆者が委員を務めている委員会もそれぞれ改革に向けて活動を加速しています。経済産業省に事務局を置く産業構造審議会の「産業金融機能強化のための金融所得課税のあり方に関する検討小委員会」では、金融所得の一体的課税に向けて審議を進めています。初夏には報告を出す予定です。これまで以上に証券投資のしやすい、預貯金利子の税に比べて遜色のない税制を目指して行きたいと思っています。
民間の組織でわが国の会計基準を作っている企業会計基準委員会の委員としても、新しい企業活動に適した、投資家のためにもなる会計基準を模索していきたいと思っています。今年はストック・オプションの会計基準、企業結合会計の適用指針など大きな課題が目白押しです。わが国でも国際会計基準で作成した財務諸表を認めてよいか、という問題も焦眉のものとなっています。
国境を越えたクロスボーダーの取引が拡大し、他方、国内経済も成熟段階に達したわが国にとって制度問題を抜きに経済を語る事は不可能です。2004年も総合的な視点から、経済社会・企業社会のためのさまざまな提言を行っていきたいと思っております。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2022年08月09日
企業に求められる人的資本と企業戦略の紐づけ、および情報開示
有価証券報告書における情報開示は実質義務化?
-
2022年08月08日
非農業部門雇用者数は前月差+52.8万人
2022年7月米雇用統計:雇用環境は堅調、労働需給はタイトなまま
-
2022年08月05日
2022年6月消費統計
感染状況の落ち着きから、緩やかな回復基調を維持
-
2022年08月05日
内外経済とマーケットの注目点(2022/8/5)
米国市場では8/10に発表される7月の消費者物価が注目される
-
2022年08月09日
投資家は非財務情報をどのように活用しているのか
よく読まれているコラム
-
2022年07月21日
2022年度の最低賃金引き上げはどうなるか
-
2015年03月02日
宝くじは「連番」と「バラ」どっちがお得?
考えれば考えるほど買いたくなる不思議
-
2022年01月12日
2022年米国中間選挙でバイデン民主党は勝利できるか?
-
2021年12月01日
もし仮に日本で金利が上がり始めたら、国債の利払い費はどうなる?
-
2006年12月14日
『さおだけ屋は、なぜ潰れないのか』で解決するものは?