15・5計画、構造問題への処方箋を出せるか?

5年間の平均成長率目標は設定「できない」可能性大

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2025年10月21日

サマリー

◆2025年10月20日~23日の予定で、中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議(4中全会)が開催され、2026年から始まる第15次5カ年計画の基本方針が決定される。計画経済を掲げる国であれば、期間中の成長率目標の設定はあってしかるべきだが、2021年~2025年までの第14次5カ年計画に続き、第15次5カ年計画でも設定されない可能性が高い。中長期的な成長力の低下により、高めの成長率目標にコミットするのは極めて困難になっている。成長率目標は設定しない、というよりも設定できない、と記述するのがより正確な表現となろう。

◆大和総研は、(1)人口減少と少子高齢化の急速な進展、(2)住宅需要の減退など総需要の減少、(3)過剰投資と投資効率の低下、(4)それと表裏一体の過剰債務問題、(5)「国進民退」(政策の恩恵が国有企業に集中し、民営企業にはマイナスの影響が出ることすらある)の進展、などの構造的な問題が、中国の中長期的な成長力を低下させているとみている。第15次5カ年計画の基本方針において、こうした構造問題に効果的な処方箋を出せるかどうか、に注目している。

◆上記(1)~(5)の構造問題が端的に現われているのが「内巻」(Involution、破滅的な競争)と呼ばれる現象だ。その特徴は、①投資過剰・供給過剰、②製品・サービスの同質化、③相対的な需要不足の中での熾烈な価格競争、④企業の利益率低下、利益減少、赤字化、⑤雇用・所得環境の悪化、⑥銀行の(潜在的)不良債権の増加、などであり、「内巻」の典型が電気自動車(EV)を中心とする新エネルギー車(NEV)である。第15次5カ年計画が、この「内巻」の抑制にどのような方針を打ち出すのかもポイントのひとつとなろう。

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