「株式学習ゲーム」の効果

2013年2月18日

「株式学習ゲーム」という存在をご存知であろうか。これは、学校教育の中で金融経済教育を支援するという取り組みの一環として、日本証券業協会と(株)東京証券取引所グループ<現(株)日本取引所グループ>が共催で提供してきた、学校授業用の教材である。平成8年度より実施されており、平成23年度には776校(うち、高等学校:43%、中学校:39%。参加生徒数は35,784人(※1))が、この教材を利用した授業を実施している。

「株式学習ゲーム」の具体的な内容は、1,000万円の仮想所持金をもとに、どの企業の株式を売買するかを選択して、実際の株価で取引する、というものである。導入の狙いとしては、株式の模擬売買を通じて、経済や社会に対する生徒たちの関心を引き出すことや、生きた経済や社会を実感させることなどがあるようだ。また、銘柄選択は、ニュースや新聞、ウェブサイトなどを利用して、企業の情報を集め、それに基づき、生徒たちが自身で行う。なぜ選択したのか、の合理的な理由が求められるため、生徒たちはグループでディスカッションし、意見を集約することが必要となる。この過程で、企業を見る力、ディスカッション能力などが養われることも、授業の効果として、期待されるところである。

実際の生徒たち(中高生について)の反応はどうか。生徒たちの感想を拝読すると、1,000万円の資金が、最終的にいくらになったのか、最終損益を競い合う中で勝敗を強く意識するゲーム感覚を楽しんだ様子がうかがえ、とても中高生らしいと感じた。一方で、「新聞やニュースを進んで見るようになった」、「経済の勉強が面白いと感じるようになった」という声もあるなど、生徒たちは、株価変動の裏にある、経済や社会の動きに興味を持つようになったようだ。また、初めはギャンブルに近い感覚を覚えていた生徒たちだったが、「企業を応援したいと思った」、「株式を保有することは企業とのつながりと感じた」といった感想もあり、このゲームを通して、意識が大きく変わったようである。「株式学習ゲーム」について、家族の話題に上ったという感想もあった。株式投資について語る自分の子どもを見て、わが子の成長を感じた親御さんも多かったのではないだろうか。

筆者は、この教材を利用した授業を受けたことがないので、想像するしかないのだが、個人的には、このような学習内容は、中高生にとって非常にためになる経験ではないかと思う。経済や社会に関心をもつことが重要なことはもちろんだが、金融経済教育という枠を超えて、将来、こんな仕事をしたいとか、こういう人生を歩みたいとか、漠然とでも社会人になった自分の姿を想像したりする機会にもなり得るのではないかと思う。(あくまで、2013年時点の筆者が、中学生だったらそう思うだろうな、という想像であり、当時の筆者がそう感じたかどうかはわからないが・・・)。ただ、残念なのは、平成8年度から実施されているということだが、あまり周知されていないように思える点である。業界をあげて、もっとアピールしていくべきではないだろうか。

(※1)平成23年度「株式学習ゲーム」の実施状況と参加校からのアンケート調査結果について

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