サマリー
◆ECBは4月11日に行われた理事会の声明文に、「インフレ率が持続的に目標に収束しつつあるという確信がさらに高まれば、金融政策の現在の抑制水準を弱めることが適切になるだろう」という文言を追加し、6月理事会での利下げの検討を強く示唆した。5月後半に公表される1-3月期の妥結賃金が極端に上振れするようなことがない限り、6月理事会での利下げ開始が基本シナリオとなろう。
◆一方、米国FRBによる利下げ開始が先送りされるとの観測が強まっており、これがECBの政策に影響を与える可能性が市場では意識され始めている。だが、ユーロ圏の景気の弱さに鑑みれば、ECBはFRBほどに高金利を長期間続ける必要性は高くない。
◆また、米国との金利差拡大によるユーロ安はユーロ圏の輸入物価を押し上げることになるが、足元での輸入物価の低下や、実効ユーロの高さに鑑みれば、ECBが即座にユーロ安を問題視する可能性は低いと考えられる。むしろユーロ安は輸出競争力の改善によってユーロ圏経済の回復を後押しするとみられ、FRBの利下げが先送りされることで、結果的にECBによる緩和効果が増幅される可能性があろう。
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