サマリー
- 経済見通しを改訂:19年度+0.9%、20年度+0.5%:2019年7-9月期のGDP二次速報の発表を受けて、経済見通しを改訂した。改訂後の見通しは2019年度が前年度比+0.9%、2020年度が同+0.5%であり、従来から上方修正した。先行きの日本経済は、潜在成長率を若干下回る低空飛行を当面続ける公算が大きい。最近の日本経済の懸念材料は「輸出の不振」であり、外需の低迷を底堅い内需が相殺する構造が続いてきた。しかし、駆け込み需要の反動や、消費増税に伴う負の所得効果などを踏まえれば、内需の力強い成長を見込むことは今後難しくなってくる。他方で一部の仕向け先・業種において輸出に下げ止まりの兆しが見られていることなどもあり、成長率の底割れは回避される見通しだ。
- 論点①:内需と外需の乖離は続くのか?:輸出が減速する中でも内需が堅調さを維持しているのは、一部の品目の輸出が底堅く推移することで、輸出全体の落ち込みが緩やかであることに加え、輸出の減少が国内への波及効果が小さい業種に偏っていることが要因である。これまで堅調を維持してきた輸送用機械など、波及効果が大きい業種の輸出は減速する可能性が高まっており、これまで堅調だった内需についても、今後減速懸念が生じるとみられる。一方、これまで軟調だったハイテク関連製品の輸出には既に底打ちの兆しが見られており、輸出全体として底割れする可能性は低く、内需の減速によって内外需の乖離は徐々に収束に向かうことになろう。
- 論点②:財政余力の国際比較と日本の財政政策の方向性:財政余力とGDPギャップを先進32ヶ国で比較すると、ドイツや英国などでは財政余力が大きく、景気刺激策の必要性も大きい。反対に、日本や米国などでは財政余力が小さく、景気刺激策の必要性も小さい。財政支出の拡大は「ワイズ・スペンディング」を目指して行うべきで、経済状況が良いときには財政余力を高めつつ、民間の成長力強化に資する事業や、中長期的な歳出増への対策に支出することが重要だ。日本の社会資本ストックは国際的に見てかなり高いが、防災・減災関連などの社会資本は相対的な整備の余地がある。先進技術や分散型エネルギーへの投資なども、今後積極的に検討していくことが不可欠になろう。
- 日銀の政策:予測期間中のCPIは、2019年度は前年比ゼロ%台半ば、2020年度はゼロ%台前半で推移すると見込まれるため、日銀は非常に緩和的な金融政策を継続するとみている。米欧中央銀行の金融緩和姿勢が強まる中、当面、小幅な追加金融緩和が視野に入る展開が予想される。
【主な前提条件】
(1)公共投資は19年度+4.5%、20年度+1.2%と想定。
(2)為替レートは19年度108.6円/㌦、20年度108.5円/㌦とした。
(3)米国実質GDP成長率(暦年)は19年+2.3%、20年+2.0%とした。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
主要国経済Outlook 2026年4月号(No.473)
経済見通し:世界、日本、米国、欧州、中国
2026年03月25日
-
中東情勢緊迫化と軍事費増加は世界経済の重石に
2026年03月25日
-
日本経済見通し:2026年3月
春闘賃上げ率5%台維持も、中東情勢悪化が新たな景気下押し要因に
2026年03月24日
最新のレポート・コラム
-
検討進むガバナンス・コード改訂:2月案と4月案の相違点は
「解釈指針」は原則と一体という記述は削除。現預金への注目を避ける修文。
2026年04月10日
-
企業のAI導入・利用に必要な人権の視点
世界で進展するAI規制の展開と日本の現状を踏まえて
2026年04月10日
-
遺言のデジタル化に向けた検討
「民法(遺言関係)等の改正に関する要綱案」における、遺言の手続きの見直しについて
2026年04月10日
-
米国:停戦合意後も残る景気悪化リスク
原油高×金融リスクの増幅=フィナンシャル・アクセラレーター
2026年04月09日
-
新NISAがもたらす投資の定着と、次世代へ繋がる資産形成
2026年04月10日
よく読まれているリサーチレポート
-
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
-
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
-
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日

