サマリー
◆2024年の中国の実質GDP成長率は前年比4.9%(以下、変化率は前年比)程度と、2023年の5.2%から減速するとみられる。大規模設備更新と消費財買い替えへの支援強化などの政策効果により、製造業の固定資産投資が堅調に推移し、秋口以降は家電や自動車の販売金額が増加した。一方で、不動産不況によるバランスシート調整が景気下押し要因となった。不動産開発投資は3年連続で10%程度の減少が続き、消費は全体として低空飛行が続いた。
◆2025年の中国の実質GDP成長率は4.5%程度と、2024年からさらに低下すると見ている。自動車・家電買い替え促進策の反動減が出て、トランプ・リスクはある程度顕在化するが、不動産不況は悪化に歯止めがかかり、財政出動が景気を下支えすることなどが前提だ。楽観シナリオでは5%程度の実質成長率を維持する。住宅市場が安定化し、トランプ・リスクが限定されれば、その可能性が高まろう。悲観シナリオは米大統領選挙時に示された中国に対する60%追加関税とその他への10%~20%追加関税が実現するようなケースであり、その場合の中国の実質成長率は3%台前半に落ち込もう。発生の確率は、ベースシナリオが60%、楽観・悲観シナリオがそれぞれ20%程度とみている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
中国経済見通し:景気テコ入れ策の効果を総点検
家電・自動車買い替え促進策の効果が発現。住宅市場テコ入れ策は?
2024年11月22日
-
中国経済見通し:なりふり構わぬテコ入れ策発動
金融緩和、住宅市場テコ入れ策、株価対策、国債増発
2024年10月22日
-
中国:不動産不況、淘汰と救済なくして回復なし
金融市場では「質」(安全資産)への逃避が進む
2024年09月20日
-
中国経済見通し: 5%成長死守に向け内需を刺激
パワーアップした内需刺激策を発表。2025年は反動減に要注意
2024年08月22日
-
中国経済見通し: 5%成長目標の達成に黄信号
家計のバランスシート調整の影響もあり、消費が減速
2024年07月19日
-
中国:前例のない住宅市場テコ入れ策は不発か
5%成長に向けて、家電購入補助金支給など対症療法的な政策を総動員
2024年06月21日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2024年12月消費統計
耐久財は強いが非耐久財が弱く、総じて見れば前月から概ね横ばい
2025年02月07日
-
インド2025年度予算案:消費回復が民間投資を促す好循環を生むか
企業投資の誘発効果の大きい耐久財セクターへの波及がポイント
2025年02月06日
-
消費データブック(2025/2/4号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年02月04日
-
「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会 会社法の改正に関する報告書
従業員等への株式の無償交付、株式対価M&A、実質株主の把握など
2025年02月04日
-
中小企業の更なるM&A促進には環境整備が急務
2025年02月07日
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
2025年度税制改正大綱解説
大綱の公表で完結せず、法案の衆議院通過まで議論が続くか
2025年01月06日
-
2025年の中国経済見通し
注目点は①不動産不況の行方、②トランプ2.0 vs 内需拡大
2024年12月20日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
-
岐路に立つ日本の人的資本形成
残業制限、転職市場の活発化、デジタル化が迫る教育・訓練の変革
2025年01月09日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
2025年度税制改正大綱解説
大綱の公表で完結せず、法案の衆議院通過まで議論が続くか
2025年01月06日
2025年の中国経済見通し
注目点は①不動産不況の行方、②トランプ2.0 vs 内需拡大
2024年12月20日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
岐路に立つ日本の人的資本形成
残業制限、転職市場の活発化、デジタル化が迫る教育・訓練の変革
2025年01月09日