サマリー
◆中東情勢の緊迫を背景に、原油などのエネルギー価格が高止まりしている。その影響はいずれエネルギー以外の財・サービス価格にも幅広く波及するだろう。原油、天然ガス、石炭の価格は平均して紛争発生前から30%超上昇したが、ガソリン補助金の効果を考慮しつつ、産業連関表をもとに国内の消費者物価への影響を試算すると、「全面転嫁シナリオ」で+0.73%程度、「部分転嫁シナリオ」(エネルギー関連では全面転嫁、それ以外は50%転嫁)で+0.26%程度となる。
◆日本の原油輸入量対実質GDP比は第1次石油危機時(1973年度)で51ペタ・ジュール(PJ)/兆円だった。それが2024年度には9PJ/兆円まで低下するなど、原油高に対する日本経済の耐性は石油危機時から大幅に高まった。一方、輸入原油の中東依存度は同期間で78%から96%へと上昇しており、中東情勢により脆弱な経済構造になった。中東情勢の緊迫が長期化するリスクに備え、石油備蓄を有効に活用するためにも、政府はガソリン補助金の縮小に関する条件やスケジュールなどを早期に示すとともに、家計や企業などに省エネの取り組みを促すべきだ。
◆日銀短観の2026年3月調査では、業況の先行きに対する企業の警戒感の強まりが示されたほか、中長期の期待インフレ率の高まりや、緩和的な金融環境の維持といった点も注目される。一方、非製造業の産出デフレーターなどからCPI上昇率の背景を整理すると、賃上げによる物価上昇圧力が2024年頃から強まっており、2026年も続くとみられる。こうした状況を踏まえると、金融緩和の度合いを調整するために日銀が利上げを継続する必要性は大きい。だが、原油の供給不足が発生した場合の日本経済への打撃は大きく、4月の金融政策決定会合では中東情勢などを見極めるため、日銀は現状維持を決定するとみられる。仮に事態が改善に向かえば、早ければ6月にも追加利上げを行うだろう。
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