サマリー
◆中国国家統計局によると、2024年10月の小売売上は前年同月比4.8%増(以下、断りのない限り、変化率は前年比、前年同期比、前年同月比)となり、9月の3.2%増から伸びが加速した。家電・音響映像機材の販売金額は、8月の3.4%増から、9月は20.5%増、10月は39.2%増と急増した。これは、2024年7月25日に発表された「大規模設備更新と消費財買い替えへの支援強化に関する若干の措置」が効果を上げたものだ。
◆中国では、3年にわたる不動産不況からの脱却を目指した、住宅市場テコ入れ策の発表が相次いでいる。2024年10月に住宅販売面積の減少幅は大きく縮小したが、効果の発現はごく一部にとどまっている。
◆景気を直接刺激するものではないが、10兆元の「隠れ債務」の地方政府債務への付け替えについては、短期・高金利の債務を長期・低金利の債務に転換することで、地方政府融資平台の破綻リスクや銀行などの貸し倒れリスクが低減することが期待できる。
◆今後、国債を増発するなどの可能性はあるが、今更発表されても2024年の景気をテコ入れするには遅すぎる。財政出動は、家電・自動車の買い替え促進策の反動減が懸念される2025年の景気を下支えするために温存される可能性もある。
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