変革迫られる学校法人の資産運用

AOP対応は、少子化・インフレの荒波を乗り越えるための第一歩

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  • 調査本部 フェロー兼エグゼクティブ・サステナビリティ・アドバイザー 塩村 賢史

サマリー

◆学校法人の経営は、少子化やインフレなどの影響により、既に過半が赤字に陥るなど厳しさを増している。財政制度等審議会財政制度分科会では、財務省が2040年までに全国の私立大学を少なくとも約250校程度(全体の4割程度)削減する数値目標を公表するなど、学校法人の生存競争は一段と熾烈なものとなる見通しである。

◆学校法人は生き残りをかけて、教育の質の向上や収益源の多様化に取り組む必要がある。その方策の一つが資産運用の高度化であるが、今のところ歩みは遅い。多くの学校法人は、依然として現金預金や債券中心の運用を続けており、インフレ下では資産の目減りが懸念される。

◆多くの学校法人では資産運用の規程こそあるものの、運用の目的、目標、方針などが定められていない。これらを定めることは、アセットオーナー・プリンシプル(AOP)の原則1に掲げられていることである。AOP対応を進めることは、資産運用の高度化に向けた第一歩となる。

◆学校経営同様に少子高齢化により、先行きが懸念されていた公的年金制度においては、運用体制の強化と基本ポートフォリオの見直しが、少なくとも今までのところは功を奏している。学校法人の資産運用高度化についても、しっかりとした目標、方針を定めて、前向きに取り組むか否かで、法人の存続が左右される可能性もあろう。

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