サマリー
◆2024年7月25日、中国国家発展改革委員会と財政部は「大規模設備更新と消費財買い替えへの支援強化に関する若干の措置」を発表した。不動産不況が続き、足元の景気は減速している。年間の政府目標である5%成長の達成を死守すべく、内需てこ入れ策が発表された格好だ。今回の政策は、(1)発表から1カ月強の2024年8月末までに資金の配分を終え、12月末までに資金を使い切るとされた、(2)家電の買い替え補助金などは中央90%:地方10%の原則で負担するとされた、ことが特徴的である。即効性と実効性が重視されていよう。
◆家電については、2024年5月に地方政府による補助金政策の発表が相次いだが、補助金は価格の10%が上限とされており、今回7月の中央政府主導の政策(補助金は価格の15%~20%)はよりパワーアップされている。僅か2カ月の間に、政策を強化しなければならないほど、景気の減速感が強まっているのであろう。さらに、設備の更新にせよ、補助金支給による船舶・自動車・家電の買い替えにせよ、需要の先食いが懸念される。2024年の政府成長率目標は達成できても翌年以降にツケを払うことには注意が必要であろう。
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