JTC(ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー)のみわけかた
2024年10月04日
JTC、ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー。上意下達を当たり前とする企業風土、意志なき伝言ゲーム、縦割り組織、過剰な忖度などによって醸し出される硬直的な、そして変化を好まない日本的な企業体質を半ばやゆした略語としてコンサルの現場でも最近よく耳にするようになった。ポジティブな評価もあるものの、「JTCこそ不祥事の温床」「JTCは人生の墓場」そんな否定的なニュアンスで使われることも少なくない。
JTCをみわけるのは意外と簡単だ。まず、社長の新入社員への言葉に注目すると良い。多くの場合、いつも「激動の時代」だから常に改革、変革が欠かせないと強調する。そして失敗を恐れるな、常識を疑えと続く。次いでイノベーションの重要性を説き、最後はチェンジとチャレンジを促すコトバで締めくくられる。上滑った借りもの言葉が散りばめられ、毎年あまり変わらない。ちょっとかっこ悪い。もちろん、素晴らしいトップの言葉も少なくないが。
続いて、JTC役員はどうか「社長はああ仰っていますが、御社、JTCですよね」そう問いかけられるとニヤニヤしつつ腕組み。ニヤニヤは「さすがはコンサル。ご名答」のサイン。腕組みは「そうなのよ、でも変えたくないし、変わらないさ」の意志なき意思表明。やっぱりかっこ悪い。
最後に、JTC社員はどうか。「変わらなければ」と口では言いつつ、AI-OCRが導入されただけで「そんなのきいていないし、私は必要ない」と騒ぎたて、ブラウザがちょっとアップデートされただけで「使いにくい」とぼやく。要はちょっとした変化にネガティブに反応する。表計算ソフトを前に目を吊り上げ「忙しい」を連発、「いまバタバタしていまして」とちょっと得意げ。その上司はというと「全員野球」という意味不明なコトバでチームワークを強要する。これも何だかかっこ悪い。
「伊藤レポート」の公表から今年で10年。「JTC(ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー)とやゆされた伝統的な大企業もようやく『昭和っぽさ』から抜け出し、経営のモデルチェンジに着手した」と伊藤邦雄・一橋大学名誉教授(※1)。資本効率の向上や取締役会の実効性の観点から低収益性に鋭く切り込んだ同レポートのおかげでJTCは確かに減りつつある。株価も大きく上昇した。しかし、この10年にわたる取り組みも企業体質や組織風土の書き換えというアングルではまだ五合目にも到達していない。これは現場の偽らざる感覚だ。
「うちの会社、ROE10%超えたけれど、もしかしてまだJTC?」そう感じたら迷わずご連絡を。
(※1)2024年8月19日付日本経済新聞朝刊 社説「昭和っぽい企業」の改革加速を
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- 執筆者紹介
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コンサルティング企画部
主席コンサルタント 林 正浩
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