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日ロ間のサプライチェーン寸断で影響を受ける業種は?

2022年03月14日

経済調査部 エコノミスト 小林 若葉

ロシアがウクライナに侵攻したことで世界的な物流や金融に混乱が生じ、日系企業の事業活動にも影響が表れ始めている。トヨタ自動車や三菱自動車がロシア国内の工場稼働とロシア向けの完成車輸出を停止したほか、ホンダ、日産自動車、スズキ、SUBARU、マツダも輸出を取りやめた。建機大手のコマツや日立建機も輸出や現地生産を停止した。ロシアとのサプライチェーンが寸断されつつあるが、日系企業にはどのような影響があるのだろうか。

まず2021年の輸出入総額(財務省「貿易統計」)を見ると、ロシア向けは全体の1.4%と少なく、貿易減少による直接的な影響は軽微だろう。他方、国際産業連関表(※1)を用い、ロシアにおける生産活動が波及効果を通じて与える影響を業種別に見ると、石油製品(産出額対比で8%)、鉱業・採石業(同8%)、一次金属(同7%)、電気・ガス(同6%)、自動車(同4%)などで比較的大きい。同国は、自動車では主に販売先として、その他は調達先としての重要性がある。

資源などの調達元をロシア以外に切り替えることには時間的、金銭的なコストがかかるだろう。経済産業省「石油統計」によると、2020年度のロシア産原油の輸入に係る運賃は、船積数量1バレル当たりで0.8ドルと平均的な運賃(同1.5ドル)の半額程度であり、主要な原油輸入先で最も安価であった。中東産などと比較して、ロシア産は輸送距離が短いためであるとみられる。

ロシアに進出している日系企業は、2月時点で347社ある(帝国データバンク調べ)。業種別では、完成車メーカー、自動車部品メーカー、製薬会社など製造業が45%(156社)を占める。また、非製造業の卸売業が25%(87社)を占める。複数の総合商社はロシアの原油ガス開発事業「サハリン1」「サハリン2」に参画しているが、欧米の石油大手はこれらの事業から次々と撤退しており、日系企業においても事業の見直しを迫られる可能性があろう。

JETROが2月24~25日に在ロシア日系企業向けに行った調査では、今後半年から1年後の事業見通しは「現状維持」が54%(1月末(前回)の調査:56%)と前回調査から大きな変化はなかったものの、「縮小」は17%(同3%)へと上昇し、「拡大」は16%(同31%)へと低下した。米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染拡大など、近年は企業のサプライチェーンの見直しを迫られる誘因が多かったが、ウクライナ問題をきっかけに、地政学リスクにも気を配ったサプライチェーンの形成が一層重要視されそうだ。

(※1)欧州委員会の国際産業連関表(2014年のデータ)を利用。

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