動物のお医者さんに行って思ったこと
2021年10月06日
近頃、我が家のペットに元気がなかったので、動物病院に行った。動物病院に行くのは初めてだったため事前にネットで検索したのだが、徒歩圏内に3つもあることに驚いた。農林水産省「飼育動物診療施設の開設届出状況」によると、産業動物を除く小動物等を対象とした動物病院数は12,247施設(令和2年)であり、国内店舗数が第3位のコンビニエンスストアが13,879件(出所:同社ウェブサイト、2020年4月現在)と同程度とのこと。どうりで近隣の動物病院が複数ヒットするわけである。
診察の結果、当面は2週間ごとに通院することになったのだが、この動物病院が年中無休であることにも驚いた。院内には診察をした獣医師以外にも、白衣を着た別の獣医師らしき人を見かけたが、無休で営業するための人材は足りているのだろうか?
そもそも獣医事に従事する獣医師には、個人で病院を営むだけでなく、公務員や民間団体職員として産業動物診療や研究を担っている方々もいる。犬、猫等のペットの診療に従事しているのは15,774人(農林水産省「平成30年獣医師の届出状況(獣医師数)」より)であり、活動している獣医師全体の45%ほどである。小動物診療の獣医師は充足しているが、産業動物診療獣医師の確保が課題であるというのが日本獣医師会の見解である。
産業動物獣医師を確保するためには、抜本的な改革が必要であるのではないか。例えば、産業動物獣医師数が確保されるまで、各獣医学部における職域枠を産業動物診療X%、小動物診療Y%等のように予め定め、カリキュラムも職域枠に沿う内容とすることで、卒業後の進路を誘導する方式はどうであろうか。産業動物獣医師数の確保状況に応じて、職域枠の見直しを行えばよい。
また、筆者は専門家ではないためどこまで可能かは分からないが、従来ペット診療等で活用が進んでいるオンライン診療を産業動物診療についても早期に適用する取り組みも進めてはどうか。オンライン診療は畜産業が盛んな、遠方への赴任が多くなる産業動物獣医師にこそ、有効な手段であるだろう。また、健康管理用のウェアラブル端末等も活用した予防医療も今後の畜産で推進されることが期待される。人間の健康のための技術を動物でも使い、動物でうまくいった方法を人間にも適用するという好循環で技術革新を進めることは、人間と動物のいずれが対象にしろ、医師の生産性を上げることになる。
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