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テレワーク拡大のカギとなる企業の対応力

2020年07月06日

政策調査部 研究員 佐川 あぐり

新型コロナウイルス感染症拡大を契機に、私たちの働き方は大きく変わった。その一つが、テレワークの広がりだろう。これまでも、政府は働き方改革の一環としてその活用を推進してきたが、テレワークを導入する企業は大きく増加したとみられる。テレワークが普及したきっかけがテレワーク本来の利点の追求ではなかったとしても、それは多様な働き方の選択肢を人々に与えるものであり、より長く働き続けられる社会の実現に向けた大きな一歩といえる。

テレワークは、従来の働き方では希望通り働くことができなかった人々に対して、働く機会を提供する。例えば、自身が治療中である、育児・介護が必要な家族を持つなど、様々な事情で通勤が困難な人々にとって、自宅で働けるテレワークは重要な選択肢となる。また、通勤に充てていた時間を副業や学び直しの機会に活用できれば、新しい仕事にチャレンジする契機となるかもしれない。テレワーク拡大の流れは、コロナ禍への対応という一時的なものではなく、その後の新しい働き方として常態化させていくべきである。

そのためには何が必要か。テレワークに関するいくつかのアンケート調査結果を見ると、働く側の意見としては、通勤のストレスがない、時間を有効に活用できる、社内よりも時間意識が高まる、などの前向きな評価が比較的多い一方で、社員間でのコミュニーケーション不足やオンオフの切り替えが難しいといった課題もあるようだ。企業は、労務管理や生産性向上に向けた取組みと同時に、従業員がより快適にテレワークを行えるようなルール作りを進めていく必要がある。

私自身も家族が自宅にいる状況では、オンオフの切り替えの難しさを実感した。仕事をしている時間帯は、子供には学校の課題に取り組ませるようにして、親子がともに集中する時間を過ごすようにしてみたが、未だ試行錯誤中である。こうした身近な課題一つをとっても、家族構成や子供の性格なども含め、従業員ごとに多様な事情があろう。企業には柔軟できめ細やかな取組みが求められることになる。

政府においても、コロナ禍を機に広がる働き方改革の流れを停滞させないような政策の実行が求められる。例えば、近年は、従業員に副業を認める企業や、副業人材を募集する企業も徐々に増えつつあり、テレワークの拡大とともに副業が一般化していくかもしれない。そうなれば、働き方や勤務先企業の規模にかかわらず、得た報酬をすべて合算したベースで厚生年金保険料を負担するようにし、老後に受け取る報酬比例年金を充実させられるような年金制度の見直しが必要ではないか。働き方の多様化や高度化に合わせ、老後に向けた資産形成の視点も忘れないでほしいところである。

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