2020年02月19日
『人生100年』というキーワードはすでに多くの人々に認知されている。日本人の寿命は医療技術の進歩や健康志向の高まり、環境改善等により100歳になるという予想だ。多数の人が70歳まで働いてリタイアし、100歳を迎えるイメージである。寿命が延びることはありがたいことである。一方、働く時間が長くなり、かつリタイア後の30年間を想像すると憂鬱になる人も結構多いのではないだろうか。その原因はお金や住まい、健康状態、リタイア後の過ごし方、親の介護、自分の終活と多岐にわたるだろう。夢が膨らむ傍ら、それを帳消しにするくらいの不安や心配が浮かび上がるのである。では、どうすれば本当に幸福な人生100年計画を描けるのだろうか。筆者が考える答えは次のとおりである。
『自分と他人の比較をやめること』
これまで多くの人が偏差値の高い学校へ入り、有名な企業に入社し、管理職になれば人生は成功であると教えられてきたのでないだろうか。いつの間にかそれが幸福な人生の基準になっているように思える。ライフプラン研修をやると「40歳までに課長に昇進し、年収は850万円、貯蓄は1,000万円」というようなアウトプットが目立つ。自分基準ではなく世間によって何となく作られた他人基準を物差しにしているように思えるのである。自分は何をしたいのか、余暇は何をしているか、リタイア後にやりたいこと等への言及はほとんど見られない。
そもそも唯一絶対の幸福の基準など存在しない。その人が臨終を迎えたときに「本当に充実した人生だった。後悔はないどころか、大変満足している」と思うことができればよいのである。つまり自己満足できるか否かである。他人と比べて貯金が多い少ないなどは実はどうでもよいことなのだ。しかし、他人基準で人生計画を考えると自分が本当にやりたいことよりも、いわゆる世間体を物差しにした内容に着地してしまう。今は多様性を尊重する時代だ。思い切って古い価値観を捨ててみてはいかがであろうか。
自分基準で人生を考えると、これまで気づいていなかった才能、本当にやりたかったことが見つかる可能性が高くなるはずだ。休日に3時間、大いなる自己満足・自画自賛・自分基準で自分の人生100年計画を立ててみよう。その過程であなただけの最高の幸福基準を発見できるだろう。
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- 執筆者紹介
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マネジメントコンサルティング部
主任コンサルタント 柳澤 大貴
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