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上場会社に求められるグループガバナンスの実効性

2019年12月11日

経営コンサルティング第二部 主任コンサルタント 内山 和紀

株式会社東京証券取引所(以下、東証)は2019年11月29日に、『上場子会社のガバナンスの向上等に関する上場制度の整備について』を発表した。

今回の趣旨の一つとして、政府による2019年6月21日に公表された『成長戦略実行計画』(※1)を受けた形で、上場子会社のガバナンスに関する「(1)独立役員の独立性基準の強化」と「(2)グループ経営等の考え方の開示の充実」について見直しを行っている。

(1)については、「独立役員の独立性に係る判断基準に、過去10年以内に親会社又は兄弟会社に所属していた者でない旨を追加する」とし、現行制度の基準である1年未満(※2)から比べると長期間親会社や兄弟会社との関係がないことが必要となった。

(2)については、「上場子会社を有する上場会社は、グループ経営に関する考え方及び方針を踏まえた上場子会社を有する意義及び上場子会社のガバナンス体制の実効性確保に関する方策などを、コーポレート・ガバナンスに関する報告書において開示する」として、東証では以下のグループガバナンスに関する考え方等の開示を求めている。

  • 上場子会社を複数有する上場会社にあっては、上場子会社を有する意義等を上場子会社ごとに記載
  • 上場子会社を有する上場会社が、その上場子会社との間で、グループ経営に関する考え方及び方針として記載されるべき内容に関連した契約を締結している場合は、その内容を併せて開示
  • 上場子会社は、コーポレート・ガバナンスに関する報告書において、その親会社におけるグループ経営に関する考え方及び方針を開示するとともに、それらに関連した契約を締結している場合は、その内容を併せて開示
  • 上場会社は、その親会社又は上場子会社との間で、グループ経営に関する考え方及び方針として記載されるべき内容に関連する契約を締結する場合は、その内容を開示


グループガバナンスの考え方については、経済産業省が2019年6月28日に公表した『グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針(グループガイドライン)』(※3)において、親会社と少数株主の利益相反リスクや子会社経営陣の指名・報酬の決定方針に課題があるとして、それらの考え方について指針を示している。

日本と比べ、欧米では親子上場の企業数は少なく(※4)、海外投資家には親子上場の合理性や少数株主との利益相反の観点から理解されづらいと思われる。今回の東証の制度整備においては、実務指針の考え方等の記載を一つ一つ義務化するものではないが、上場子会社やそれを有する上場会社には実務指針を考慮した踏み込んだ開示がされることも期待したい。上場子会社に関する制度の見直しは、2020年3月31日以後に終了する事業年度に係る定時株主総会後より適用されることとなっており、グループガバナンスは今後より一層の実効性の確保が求められる。

(※2)現行制度では、「最近において親会社の業務執行者(業務執行者でない取締役を含む)に該当していた者」は独立性基準に抵触するものとされているが、1年以上前は「最近において…該当していた」に該当しないこととされている。

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経営コンサルティング第二部
主任コンサルタント 内山 和紀