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経済成長のけん引役として期待される日本の環境産業

2019年09月18日

伊藤 正晴

2019年8月に公表された環境省「令和元年6月環境経済観測調査(環境短観)」によると、環境ビジネスを実施している企業から見た調査時点における自社の環境ビジネスの業況DI(「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を差し引いた値)は21であった。先の大和総研コラム(※1)で紹介した、前回調査(平成30年12月調査)での業況DIの24より若干低下しているが、依然として環境ビジネスは好調を維持している。

地域別では、北海道の調査時点における業況DIが32と最も高く、次いで九州が27となっている。一方、業況DIが最も低いのは近畿の17で、次いで東北が18となっている。地域によって差はあるが、全国的に環境ビジネスは好調である。また、日本銀行「全国企業短期経済観測調査(日銀短観)」の2019年6月調査では、全規模合計・全産業の業況判断DI(最近)は10となっており、産業全体に比べて環境ビジネスが好調であるとの認識がうかがえる。先行きについても、半年先を見通した業況DIは22で、10年先は少し低下するが19となっており、好調な業況が続くとみている企業が多い。

環境短観では環境ビジネスを「環境汚染防止」、「地球温暖化対策」、「廃棄物処理・資源有効利用」、「自然環境保全」の4つの分野に分けている。分野別の業況DIを見ると、調査時点では地球温暖化対策分野の業況DIが27で最も高く、半年先でも同分野が28で最も高い。同分野の10年先の業況DIは23で少し低下しているが、好調が継続するとみられている。また、10年先では自然環境保全分野の業況DIが30で最も高く、環境ビジネスの広がりが期待される。

2016年1月に国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」が発効し、2016年11月には気候変動に関する国際的な枠組みであるパリ協定が発効した。好調な環境ビジネスの背景には、いうまでもなく国内外における環境問題への政策的な取り組みの強化があろう。では、環境ビジネスは産業としてどの程度の規模を有しているのであろうか。

2019年6月に公表された、環境省の環境産業市場規模検討会「環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書」によると、2000年に58.3兆円であった国内環境産業の市場規模は、2017年には1.8倍に相当する105.4兆円に成長したと推計している。なかでも、地球温暖化対策分野の市場規模が2000年の4.0兆円から2017年には36.0兆円にまで拡大していることが大きく寄与している。また、2017年の環境産業が産み出した付加価値額は44.7兆円と推計され、名目GDPに対する比率は2000年の5.3%から2017年には8.2%へと高まっている。環境産業の動向が日本の経済成長に与える影響が大きくなっているのである。

公害対策などの経験や高い技術力を持つ日本の環境産業にとって、国内や海外における環境に関する課題への取り組みがますます大きな機会をもたらすと考えられる。また、エコカー減税で自動車の低燃費化分野が伸び、FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)の導入で再生可能エネルギー分野が拡大しているなど、環境産業の成長には政策が大きな影響を与えている。今後も、企業による努力とともに政府の適切な施策の実施などで、環境産業が日本の経済成長の牽引役のひとつとして寄与することが期待される。

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