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就職戦線異状なし? vol.2 ~新卒の就活は何処へ向かうのか~

2019年02月20日

経営コンサルティング第一部 主席コンサルタント 橋本 直彦

約一年前に、筆者は本HP上で「就職戦線異状なし?~大学生の就活に思うこと~」というコラムをリリースした。その中で、“就活ルールの安易な変更は慎むべきだ”と述べたが、2018年10月9日に突如として経団連から就活ルールの廃止が公表された。すなわち、2021年4月入社の新卒採用に関して採用時期についての制約が撤廃され、事実上リクルーティングは“早い者勝ち”が容認されることになる。もっとも、学生の混乱回避のため、当面は政府主導で現行の就活ルールを踏襲する方針のようだが、個人的に、この就活ルールの廃止は、非常に唐突な印象があり、違和感を禁じ得ない。

3月1日から企業の広報活動(会社説明会等)が開始、6月1日以降に選考活動が始まり順次内定(内々定)を出していく従来のスケジュールについて、賛否両論あることは承知している。しかし、筆者は就活こそ「ある一定のルール」のもとに行われるべきと考える。

経団連が就活ルールの廃止を決断した理由として、①外資系やベンチャー企業の多くが就活ルールの外側で自由な採用活動を展開していること、②インターンシップ等により企業は実質的に早期選考を実施していること、③新卒一括採用というスタイルが諸外国のそれと異なっており、雇用の流動化にマッチしていないこと、等が背景にあると思料する。

いずれも、“就活ルールの形骸化”から、「廃止しても問題なし」という考え方である。 果たしてそうだろうか?当の学生たちの意見はと言うと、賛否は分かれているようだが・・・。平成30年度の就活を経験した筆者の娘に感想を聴いてみたが、「就活ルールが無いというのはとても不安だ。ダラダラとしたスケジュールでは、いつから本格的に取り組むべきかが曖昧になってしまう」という意見だった。

もし、就活ルールが全廃されれば、それこそ大学一年の入社時点から就活に心血を注ぐ学生も出てくるだろう。まあ、それも良しと言うなら仕方がないが、学生時代は勉学やスポーツ、趣味等、時間はいくらあっても足りないはずだ。就活にかまけている暇はあるのだろうか。

現行の就活ルールは、実効性の面ではとても満点はつけられないが、形式的には、就職に強い大学からそうでない大学の学生まで均等に機会が与えられる。そんな過保護な取り扱いは無用という意見もあろうが、少なくとも就活ルールがあれば自分の行きたい企業の門戸を叩くことはできる(たとえ、その門は開かなくても!)。 大切なのは、学生に対してより公平に企業を選択する機会を与えられているか、大学生活における貴重な時間をいたずらに奪っていないか、といった観点から就活ルールの存否を考えるべきだ。

先日、人気アイドルグループの嵐が活動休止を発表した。筆者も人気絶頂の彼らの決断に「もったいない」という気持ちと、同時にどうして彼らがここまで人気を維持できたのか理由を知りたいという気持ちが交錯した。様々な解釈はあろうが、メンバーのキャラ(個性)が5人ともかぶらずに喧嘩していない、その心地よい“バラバラ感”がこのグループの最大の強みなのではないか。キムタクが5人いてもSMAPは成立しないのである。

企業も同じで、優等生タイプばかり採用しては組織の活力を削いでしまう。そういう意味では、就活は企業と学生のキャラ(個性)をマッチングさせる場とも言える。だから、マッチングの機会・選択肢は多い方が良いし、より公平に効率よく進めていくルールが求められると思う。企業だけでなく政府や大学も皆で協力し、あるべき就活ルール確立のため知恵を出していくべきである。

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橋本 直彦

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