2018年10月09日
今年、2018年から、所得税の配偶者控除と配偶者特別控除の適用要件が改正されており、パート等で働く女性への影響が注目されている。しかし、今回の改正によって夫婦とも正社員として働く世帯の中にも配偶者特別控除が適用できるケースが出てくることは、あまり知られていないようだ。
配偶者特別控除は、配偶者の年収が一定の範囲に収まる場合に納税者が受けられる最大38万円の所得控除であり、今年から配偶者特別控除を適用できる年収の上限が141万円未満から201.6万円未満に拡大されている。正社員が得る年収は一般的には201.6万円を上回るが、育児中の女性の場合は、育児休業や短時間勤務などにより一時的に年収が201.6万円を下回ることも少なくない。
例えば、4月に育休から職場復帰した人がその年に受け取る給与は、12月までの9ヵ月分だけだ。また、育児のために短時間勤務をしている場合も、労働時間を減らした分だけ収入が減るのが一般的だ。産休・育休前は年収250万円~350万円を稼いでいた女性であっても、育休復帰した年や短時間勤務中の年は、年収が201.6万円を下回り、夫が配偶者特別控除を適用できる可能性が出てくる(※1)。
むろん、配偶者特別控除を適用するための条件は年収と婚姻関係のみであり、性別や年収が減少した理由は問われない。男性でも転職したり、(現状の適用実績は少ないが)育休を取得したりして年収が減少すれば(妻に)配偶者特別控除が適用できる。改正により、配偶者特別控除は、「共働きの夫婦において、一方が一時的に低収入になった際に税負担が軽減される制度」という特徴も持つようになったのだ。
配偶者特別控除を適用するためには、年末調整の際に夫婦が互いの見込み年収を記載して勤め先に提出する必要がある。共働きの夫婦で、育児、介護、転職、病気などにより「一方が一時的に低収入」になっている場合、年末調整の前に今年の年収を確認してみるとよいだろう。
(※1)産休・育休前までの年収が250万円なら約20%、350万円なら約42%の減少で年収が201.6万円を下回る。労働時間の減少に単純比例して年収が減ると仮定すると、9ヵ月だけ働く年の年収は1年間フルに働いた場合と比べ25%減、6時間の短時間勤務をした場合も8時間のフルタイム勤務と比べ年収が25%減となる。この両方にあてはまる(4月から短時間勤務で復帰した)場合は、約44%減となる。
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- 執筆者紹介
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金融調査部
主任研究員 是枝 俊悟
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