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さらなる成長が期待される日本の環境産業

2018年09月11日

伊藤 正晴

2016年1月に発効した国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」では、「目標7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「目標13 気候変動に具体的な対策を」など、環境に関する目標が掲げられている。また、2016年11月には気候変動に関する国際的な枠組みであるパリ協定が発効した。公害対策などの経験や高い技術力を持つ日本の環境産業にとって、国内や海外における環境に関する課題への取り組みがますます大きな機会をもたらすと考えられる。

実際に、環境産業の市場規模は拡大基調にある。2018年6月に公表された、環境省の環境産業市場規模検討会「環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書」によると、2016年の国内環境産業の市場規模は前年比3.6%増の104.2兆円と推計されている。2000年(57.9兆円)の1.8倍にまで拡大しているのである。地球温暖化対策分野の市場規模が2016年には2000年(3.8兆円)の8.7倍に相当する33.3兆円にまで拡大していることが環境産業全体の拡大に特に寄与している。

環境産業の付加価値額も2000年の27.9兆円から2016年には1.5倍の42.3兆円に拡大している。環境産業の付加価値額がGDPに占める割合は、2000年の5.3%から2016年は7.9%へと高まっており、環境産業が日本経済の成長に与える影響が大きくなっていることがうかがえる。

環境産業の輸出額についても2016年は11.3兆円となり、2000年の1.7兆円から大きく拡大した。2016年の分野別では、地球温暖化対策分野(9.9兆円)が大部分を占めており、特に「低燃費・低排出認定車(輸出分)」(4.5兆円)や「ハイブリッド自動車」(2.1兆円)の占める割合が高い。

環境産業の成長が続いている背景には、いうまでもなく国内外における環境問題への取り組みの強化があろう。では、環境産業に実際にかかわっている企業は環境ビジネスの動向をどう捉えているのであろうか。2018年8月に公表された環境省「平成30年6月環境経済観測調査(環境短観)」によると、環境ビジネスを実施している企業から見た環境ビジネスの現在の業況DI(業況が良い-業況が悪い)は、25となっている。同時期の日本銀行「全国企業短期経済観測調査(日銀短観)」における全規模合計・全産業の業況判断DIは16であるから、ビジネス全体に比べて環境ビジネスが好調であるとの認識がうかがえる。

環境短観での半年先の業況DIは26であり、10年先は少し低下するが21となっており、好調な業況が続くと見ている企業が多いようである。また、海外需給DI(需要超過-供給超過)は現在の10に対して、半年先は14、そして10年先は22と上昇している。世界的な環境問題への取り組みが進展することで、環境ビジネスはグローバル化が進んでいくと見込まれているのだろう。

企業は、環境ビジネスに関して国内外で好調が続くことを想定しているようであるが、業況を良いとする要因について「海外市場の発展が見込まれるため」や「国内市場の発展が見込まれるため」などの回答割合が高い。そして、地球温暖化対策分野では「補助金・助成金などの支援策がある又は見込まれるため」や「FIT(固定価格買取制度)があるため」などの回答割合が高いなど、環境産業の成長には政策が大きな影響を与えている。今後も、企業努力とともに各国政府が適切な施策を実施することで、環境産業がグローバル経済の牽引役のひとつとして寄与することが期待される。

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