新しい消費統計、「消費動向指数(CTI)」への期待
2018年02月26日
2018年1月分から消費関連統計が大きく変わる。最も大きな変化は、消費動向指数(CTI)と呼ばれる新しい消費統計が加わることだろう。CTIは、代表的な消費統計である家計調査とその他の消費関連統計・調査を合成し、時系列分析などの統計的な手法を用いることで、家計調査では対処しきれなかった課題に応えるような指標となっている。以下では、家計調査が抱えていた課題とCTIでどのように対処されているかを確認することで、新しい消費統計を簡単に紹介したい。なお、CTIでは世帯消費動向指数(CTIミクロ)と総消費動向指数(CTIマクロ)の二つの指数が作成されることになっているので、以下では区別する。
まず、現状の家計調査においては、月次でデータを確認できるのは二人以上の世帯のみで、単身世帯と単身世帯を含む総世帯ベースでの消費データは四半期ごとでしか公表されていなかった。少子高齢化が進んだ現在、単身世帯の比率は上昇している一方、家計調査では、月次でその動向を追うことはできなかったのである。そこで、家計調査では新たに単身世帯の月次調査が始まることになった。さらにCTIミクロでは、家計調査の単身世帯調査に加え、家計消費単身モニター調査の結果も利用することで単身世帯をカバーしている。
さらに、家計調査は標本規模が比較的小さい(二人以上の世帯で約8,000)ことから、その精度に疑問が呈されてきた。特に自動車などの高額・低頻度の消費については、標本規模の小ささが統計のぶれにつながると考えられており、月次指標を扱う現場担当者にとっては悩みの種であった。CTIミクロでは、上述の家計消費単身モニター調査(標本規模:2,400)に加えて家計消費状況調査(標本規模:約30,000)を活用し、統計的な手法を用いて疑似的に標本規模を拡大させている。
また、日本の家計全体をマクロで見た消費動向を確認する際にはGDP統計の家計最終消費支出を利用することが一般的である。だが、GDP統計は四半期ベースの統計であり、月次の動きを追うことはできない。一方で、家計調査はGDP統計とは異なる動きをすることがあり、マクロの消費動向を見るには難があった。CTIマクロは、家計調査、商業動態統計調査などの月次の統計データを説明変数とする時系列回帰モデルを利用することで、GDP統計の月次動向を推測する指標となっている。
この他にも、ビッグデータの活用やレシート読み取り機能を備えたオンライン家計簿の導入など、CTIでは先進的な工夫がなされている。もちろん、収入面などカバーしきれない部分も残る。しかし、CTIを用いればこれまで以上に高精度でカバレッジの広いデータが月次で利用可能になることは確かであり、実際の公表を楽しみにしたい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
一括取得型自己株式取得(ASR)入門
ASRに関する基本的な事項をQ&A形式で解説
2026年10月16日
-
「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」における金融経済教育に関する記述
金融経済教育関連に限ると、大幅な拡充は行われない方向性か
2026年10月16日
-
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
-
なぜ企業は同じ情報を何度も提出しなければならないのか
公的統計のデジタル化を問う①-負担軽減の「効果」
2026年10月16日
-
成長投資の先にあるもの ~AI時代に問われる「組織能力」~
2026年10月16日

