1カ月分超の「家庭内備蓄」取り崩しでコメの価格低下が加速する可能性

エンゲル係数の記録的な高さは必ずしも家計の貧しさを表さず

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2025年07月17日

サマリー

◆食料品価格が高騰する中、消費支出に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」は上昇している。だが、可処分所得に対する食費の割合は過去と同程度であり、必ずしも家計が貧しくなっているとはいえない。エンゲル係数が上昇しているのは、食料品価格が全体の物価を大きく上回って上昇していることや、食料品以外の消費が振るわないことによる影響が大きい。さらに、長期的なトレンドとして食生活の変化も影響している。

◆2025年6月に随意契約の政府備蓄米が放出された後は、消費者の選択肢が広がり米の購入単価は下がっている。家計の米の購入数量は2024年後半以降、平年より高い水準での推移が続いており、2025年5月時点で1.1カ月分の「家庭内備蓄」が積み上がった可能性がある。過去1年間にトレンドから上振れした購入量が今後半年間で調整されると仮定すると、家計の米の購入量は足元から25%前後下振れすると試算される。今後は備蓄の取り崩しによって需要が減少し、供給面だけでなく需要面からも米の価格に下押し圧力がかかる可能性がある。

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