サマリー
◆2025年6月の貿易統計によると、輸出金額は前年比▲0.5%と2カ月連続で減少し、季節調整値は前月比▲0.4%と2カ月ぶりに減少した。輸入金額は前年比+0.2%と3カ月ぶりに増加し、季節調整値は前月比▲1.0%と3カ月連続で減少した。貿易収支は+1,531億円と3カ月ぶりの黒字、季節調整値では▲2,355億円と4カ月連続の赤字となった。
◆2025年4-6月期の実質GDP成長率における外需寄与度はゼロ近傍を見込む。財貨の実質輸出は前期比+2.4%、実質輸入は同+1.7%と試算される。4-6月期は相互関税や自動車などへの品目別関税が発動されたが、実質ベースでの影響は限定的だった。
◆2025年6月の輸出数量は前月比+4.2%と4カ月ぶりに増加した。ただし、振れを均せば横ばい圏で推移している。品目別では、米トランプ政権の高関税政策(トランプ関税)の影響が表れつつある自動車に加え、半導体等製造装置の減少が目立つ。シリコンサイクル(世界半導体市場に見られる循環)の回復が一服したことに加え、米国による半導体への品目別関税に対する懸念から、欧州やアジアで設備投資を控える動きを反映した可能性がある。
◆先行きの輸出数量は横ばい圏で推移するとみているが、不確実性は引き続き高い。現時点で主要輸出先における実体経済の大幅な悪化は確認できないが、トランプ関税や、その動向を巡る不確実性を背景に各国・地域で設備投資や個人消費が腰折れすれば、日本の輸出にも逆風となる。
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