EVブームに"ワクワク感"はあるか
2017年10月05日
今年の夏、世界はEV(電気自動車)普及に向けた大きな転換点を迎えたかもしれない。7月にフランス政府が2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する方針を表明したのに続き、英国も同様の発表を行った。さらに9月には中国政府も同様の検討を行うことが報じられている。これら政策に呼応する形で、EVに対する各国自動車メーカーの取り組みも次々報道されている。世界に比べて取り組みが遅れていた日本車メーカーでも動きが出始めた。
欧州や中国が脱内燃機関を急ぐのは、CO2の排出抑制もあるが、排ガス不正問題や、大気汚染の深刻化も背景にあろう。日本はディーゼル車の割合が低く、大気汚染も近年大きな問題になっていないため、EV化を急ごうという機運は高まりにくい。また、燃料電池車を究極的な自動車と位置付けてきたため、EVの優先順位が低かったという事情もある。
もっとも、ガラパゴス化しても仕方ないと、日本車メーカーもEVへの取り組みを加速し始めたようだ。今月下旬から始まる東京モーターショーでは、EVを前面に押し出すメーカーが多いのではないかと思われる。
しかし、個人的には、そういうEVショーにあまり興味が湧かない。というより、あまり“ワクワク感”を感じないのだ。かつてモーターショーを見に行くときは、とてもワクワクして行ったものだ。その源は、最新鋭のメカを自ら所有して運転する夢だった気もするし、技術開発の最先端を垣間見ることでもあった。もちろん、EVも技術の粋を集めたものであることに違いはなく、とても興味深いことは確かだ。しかし、乱暴な言い方をすれば、EVは部品を集めれば比較的簡単にできてしまうため、自動車の性能の違いは薄れる方向だ。技術的な進歩はむしろ電池など要素技術に焦点が当たっているのではないか。
要素技術の組み合わせだけではつまらない、と言っているのではない。かつてiPhoneが発売された当初、技術的には目新しさがない要素技術の組み合わせと映った。しかし、iPhoneは人々の生活を一変させたのである。
仮にEVが人々の生活を一変させるようなプラットフォームになったとすれば、それは発電や給電設備、さらには道路や建物を含めた社会インフラが大きく変わることを意味しよう。EV単体では持ち得ない“ワクワク感”を提供してくれるかもしれない。ぜひ、そういう未来を見せてほしい、と思うところだ。
ちなみに、かつて東京モーターショーは期間中の入場者が200万人を超えた年(1991年、期間15日間)もあったが、前回2015年は81万人(11日間)にとどまった(東京モーターショーWebサイトより)。自動車に対する人々の興味関心が段々薄れているようにも見えるが、果たして今年(10月27日~11月5日)はどれほどの人が集まるだろうか。
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